確定申告における節税効果が高いのは配偶者控除と専従者給与のどちら?

個人事業主にとって、いかに節税をするかが非常に大きな課題になります。なかでも、奥さん(もしくは親族)を申告上どのように扱うかによって課税金額は大きく異なります。

たとえば、奥さんを今までどおりに配偶者とすれば、当然ながら、配偶者控除が受けられます。

しかし、奥さんを専従者、つまり、あなたの事業を手伝っている人と見なし、給与を支払えば、それも節税効果が期待できます。

ただし、奥さんを専従者として申告すると、扶養から外れ、配偶者控除を受けられなくなります。

したがって、配偶者控除または専従者給与のどちらを採用するか、そしてどちらが結果的に得なのかをしっかり見極める必要があります。

そこで今回は、「配偶者控除」と「専従者給与」を比較し、どちらがお得になるかを検証してみたいと思います。

青色専従者給与ってどんな制度?

専従者給与という言葉をはじめて聞く人もいるかと思います。まずは、専従者給与とは何かを押さえておきましょう。

本来であれば、あなた(事業者)が奥さんや親族に給与、家賃、借入金の利息などを支払っても、それを必要経費として見なすことはできません。

しかし、要件を満たしており、専従者給与の申請を期限までに行えば、奥さん(または親族)への給与を経費として算入することができます。

これを「青色事業専従者給与」といいます。

専従者への給与を経費として算入できれば、それだけ事業所得から差し引けるので、結果的に節税につながります。

たとえば、奥さんに月30万円支払うとすると、年間で360万円を経費計上でき、事業所得を360万円縮小できます。

青色事業専従者給与の要件とは?

ただし、前述のように、専従者給与として認められるには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

専従者給与の申請が必要

青色事業専従者給与は、その年の3月15日までの税務署への申請が必要になります。

事業に専従している必要がある

奥さん(親族)がその年のうち6ヶ月を超える期間、事業に従事している必要があります。もしくは、事業に従事することができる期間の半分を超える期間、事業に従事している必要があります。

労務の対価として妥当である必要がある

また、支払う給与が、その業務の対価としてふさわしいかも問われます。そのため、タイムカードや業務日報などの実態を記録することも後々重要になってきます。

専従者が満15歳以上であること

事業者と生計を共にし、配偶者や親族の年齢がその年の12月31日で満15歳以上であることも条件になります。

配偶者控除ってどんな制度?

一方、配偶者控除とはどのような制度なのでしょうか。

配偶者控除は、事業者(納税者)と同一の生計である配偶者がおり、配偶者の所得が38万円以下である場合に適用されます。

この条件を満たし、配偶者が控除対象となれば、事業所得に対して38万円の所得控除が受けられるという制度です。

要件を満たせば、配偶者控除と青色事業専従者給与のどちらの適用される?

ここまでの解説のとおり、専従者給与にも配偶者控除にも、どちらも適用されるための要件があります。

では、専従者給与を103万円以下(65万円の控除額を踏まえると、所得38万円以下)であれば、専従者給与として経費算入しつつ、配偶者控除も受けられるのでしょうか。

結論はノーです。

なぜなら、専従者給与を受けている配偶者(親族)は、その時点で「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」の適用外になってしまうからです。

したがって、配偶者控除と青色事業専従者給与が同時に適用されることはありません。

果たして、配偶者控除と青色事業専従者給与では、どちらが節税効果が高いのか?

前項で、配偶者控除と青色事業専従者給与は同時には適用されないことは理解できたと思います。

それでは、どちらを採用すれば、より節税効果が期待できるのでしょうか。

専従者給与

  • 専従者給与は必要経費に算入できるため、所得を縮小することにつながります。

配偶者控除

  • 配偶者控除は「所得控除」となるため、所得を縮小することにつながります。

つまり、どちらを取っても所得が減らせるため、節税効果は期待できます。

ただし、奥さん(親族)にいくらの給与を支払うかによって、その人自身にも税負担が生じることになります。

たとえば、配偶者の360万円の給与を支払うと、当然扶養から外れ、配偶者自身に税負担が生じることになります。

しかし一方で、103万円以下に留めれば、配偶者に所得税や住民税が生じることはありません。

したがって、専従者給与を考える場合は、その人にいくらの給与を支払うかが大きなポイントになります。

それぞれのメリットとデメリットを比べてみましょう。

専従者給与のメリット

所得の縮小ができる

専従者給与のデメリット

配偶者自身に直接税負担が発生する可能性がある

 

配偶者控除のメリット

配偶者自身へ直接的な税負担はなくなる

配偶者控除のデメリット

所得控除額は38万円だけなので、大きな節税効果は期待できない

どちらが悦税効果が高いか、実際にシミュレーションするのが得策

結局のところ、配偶者を専従者と見なし、給与を支払い、経費を算入することで節税を図るのか。

あるいは、配偶者控除を受けるために、専従者給与は適用せずに申請するか。

このどちらがお得になるかは、事業の収入、経費、所得、配偶者の給与などを総合的に考えなければ、どちらのほうが節税効果が期待できるかは分かりません。

ですから、そのことを踏まえ、実際にシミュレーションサイトで計算してみることをおすすめします。そうすれば、最終的にいくら課税されるのかわかるので、どちらが節税効果が高いか見極めることができると思います。