帳簿付けする際、経費はお金を使った日付で計上すれば問題ありません。
しかし、売上の場合は、発生日なのか振込日なのか、費用計上のタイミングに疑問を感じる人もいるはず。
今回は、フリーランスのアフィエイト報酬を費用計上するタイミングについての解説です。
アフィエイト報酬は基本的に発生した月に記帳する
よく勘違いしてしまうのですが、アフィリエイト報酬は振り込まれた日付で費用計上するのではなく、その月に発生した売上は、その月に計上することになります。
たとえば、3月に発生したアフィリエイト報酬は、4~5月ごとにASPから振り込まれると思います。ですが、あくまでも発生したのは3月ですから、3月に費用計上する必要があります。
さらに、報酬が実際に指定口座に振り込まれた日付で、もう1件の帳簿付けが必要になります。
これは、いわゆる「発生主義の複式簿記」の基本的な考え方になります。
具体的には、次のように記帳することになります。
3月末日に報酬が確定 | |
3月31日 | 売掛金5万円 売上5万円 |
5月末日に報酬の振込 | |
5月31日 | 預金5万円 売掛金5万円 |
このように、アフィリエイト報酬は2回に分けて記帳することになります。
少し難しい考え方になりますが、1年間の売上にズレが生じないよう、きちんと記帳しましょう。
アフィリエイト報酬にキャンセルが発生した場合
アフィリエイト報酬が発生しても、その報酬が確定される確率は案件によって異なります。ほとんどの場合、発生した報酬がそのまま全額振り込まれるケースはありません。
発生した件数のうち何件かは、「却下」の扱いになり、実際の報酬にはありません。
しあがって、売上を計上するときは、その「キャンセル分」が確定してから計上しましょう。あとからキャンセル分を調整することも可能ですが、手間がかかります。
ですから、アフィエイト報酬はキャンセル分も踏まえ、すべて確定してから売上計上するのがポイントになります。
たとえば、5万円の売上発生のうち、1万円分のキャンセルは発生した場合を考えてみます。
3月末日に報酬が確定 | |
3月31日 | 売掛金5万円/売上5万円 |
5月末日に報酬の振込 | |
5月31日 | 預金4万円/売掛金4万円 |
キャンセル分の処理の仕方 | |
5月31日 | 売上1万円/ー |
このように記帳すれば、発生した売上とキャンセル分を含めて、きちんと正確な内容を計上できます。
振込手数料の計上方法
また、ASPによっては、報酬を振り込む際、手数料を負担してくれるところもあれば、こちらの負担になり、報酬から差し引かれて振り込まれるところもあります。
振込手数料はこちら負担になる場合は、実際に手にする現金がその分減るわけですから、それを反映させた費用計上にしなければいけません。
たとえば、振込手数料として300円を差し引かれて振り込まれたとします。
3月末日に報酬が確定 | |
3月31日 | 売掛金5万円/売上5万円 |
5月末日に報酬の振込 | |
5月31 | 預金49,700円/売掛金49,700円 |
振込手数料 | |
5月31日 | 支払手数料300円/売掛金300円 |
このように、実際の売上は5万円でしたが、そのうち300円を振込手数料をして指し引かれ、残りが実際に振り込まれたことの詳細がわかるようになります。
注意点として、最初から振込手数料を差し引いた金額だけを計上してしまうと、実際の売上と誤差が生じていしまいます。
最初から49,700円で計上すれば、わざわざ手数料分の記帳をせずに済むように思えますが、実際は5万円の売上が発生しています。
したがって、「売上は5万円発生したが、そのうち300円を振込手数料として負担している」といった正確な内容で記録することが重要です。
はじめから手数料を差し引いた金額で売上を計上してしまうと、売上を偽って申告することになるので注意してください。
アフィリエイト報酬にキャンセルが発生し、さらに振込手数料もこちら負担の場合
では、ここまでの内容を総合的にカバーした記帳方法をおさらいします。
アフィリエイト報酬において、キャンセルが発生するのは良くあることです。さらに、ASPによっては振込手数料もこちら負担になる場合もあります。
したがって、その2点を反映させた記帳方法が必要になります。
たとえば、5万円売り上げたうち、1万円がキャンセルになり、300円の振込手数料を負担したとします。
3月末日に報酬が確定 | |
3月31日 | 売掛金5万円/売上5万円 |
5月末日に報酬の振込 | |
5月31日 | 預金39,700円/売掛金39,700円 |
キャンセル分の処理の仕方 | |
5月31日 | 売上1万円/ー |
振込手数料 | |
5月31日 | 支払手数料300円/売掛金300円 |
このように記帳することで、以下の内容を反映させていることになります。
- 売上は5万円発生した
- 1万円のキャンセルが発生した
- 300円の振込手数料を負担した
- 結果的に受け取ったのは39,700円である
という具合に、売上はマイナスされた金額について細かい情報も記帳できます。
少し複雑な作業になりますが、偽った売上計上をしないためにも、しっかり対応していきましょう。
おわりに
今回は、アフィリエイト報酬を例に、売上計上の仕方について解説しました。
本当であれば、報酬が振り込まれた日付に、振り込まれた金額だけを記帳すれば一番簡単ではあります。
しかし実際は、売上に対してキャンセルが発生したり、手数料を引かれたり、さらに、発生した時期と振り込まれる時期が異なります。
売上を記帳するときは、それらの詳細をきちんと反映させたものにする必要があります。これが帳簿付けの面倒で複雑なところです。
しかし、ここをしっかりやらないと、「売上の偽り」と見なされてしまう可能性もあるので、十分に注意してほしいと思います。