確定申告後の所得によって決まる住民税の計算方法

国民1人あたりが支払う税金のなかで、住民税はかなりのウェイトを占めます。会社勤めの人は毎月、給与から差し引かれているので、それほど意識することはないかもしれません。

しかし、個人事業主のような立場の人の場合、住民税の用紙が送られきて、その金額の高さに驚いた経験も少なくないはずです。

では、その住民税はどのように決まるのでしょうか。

住民税というのは、基本的に住んでいる自治体に納める税金のことです。税額はその人の所得によって決まります。

したがって、個人事業主の場合は、確定申告を行い、所得が確定してから住民税の計算をします。そのため、住民税は1年後払いになっています。つまり、今支払っている住民税は「去年分」ということです。

今回は、その住民税についての解説です。

住民税の金額は控除の種類や金額によって変わる

住民税の税額は、主にその人の所得によって決まります。その所得とは、収入からさまざまな費用が控除されたうえで計算されます。

したがって、「収入」と「控除の金額」によって住民税は変動するのです。なお、個人事業主の場合は、「経費」という概念があるので、それによって所得も大きく変動します。

扶養家族による控除

たとえば、扶養する家族がいる場合は、その条件によって収入からいくらか控除されます。したがって、扶養家族がいることで住民税も安くなるのです。

扶養家族の条件による控除額は、次のとおりです。

配偶者控除

  • 所得が38万円以下の場合
  • 控除額は33万円

配偶者特別控除

  • 所得が38万円超え76万円未満の場合
  • 控除額は3~33万円まで

扶養控除

  • 16歳以上の子どもがいる場合
  • 33万円

特定扶養控除

  • 19歳以上23歳未満(大学生)の子どもがいる場合
  • 控除額45万円

このように、配偶者がおり、配偶者の所得が一定の範囲内であれば扶養控除の対象になります。また、子どもがいても、当然扶養控除は受けられます。

なお、上記における「配偶者の所得」とは、「年収から給与所得控除65万円を差し引いた金額」です。つまり、配偶者がアルバイトやパートで稼ぎがある場合、その年収が103万円以下であれば配偶者控除の対象となります。

あるいは、103万円を超えてしまった場合でも、年収141万円未満であれば配偶者特別控除の対象となります。

それぞれの条件によって世帯主の所得から一定額が控除されるため、その人の所得が縮小されることになります。結果、住民税も安くなるのです。

保険料も控除の対象

所得から控除される保険料には、大きく分けて「生命保険料」と「地震保険料」の2つがあります。それぞれの控除額は次のとおりです。

  • 生命保険料控除 最大7万円
  • 地震保険料控除 最大2万5千円

保険に加入していれば、満額ではありませんが、その条件によっていくらかは控除されます。

住民税は後払い

説明のように、住民税はその人の所得によって決まり、さらにさまざまな控除額も影響します。つまり、その人の年収なり、さまざまな状況が決定してからでないと、住民税額を決定することはできません。

したがって、住民税は、その人の所得や控除額が決定したのち、翌年に請求がかかることになります。つまり、住民税は1年後払いになるのです。

すなわち、今年払っている住民税は、去年の所得をもとに計算されたもので、つまり去年分の住民税ということになります。

住民税の税額はどうやって決まる?

ここまでの解説を踏まえ、住民税はどのように決まるのかを具体的に見てみます。

収入(売上)から経費を差し引く

あくまでの住民税は所得によって決まります。ですから、その所得が減れば、住民税も安くなるわけです。

個人事業主の場合、売上に対して「経費」という概念があります。売上から経費を差し引き、そのうえで所得を割り出すのです。

つまり、経費の金額によっては、所得額は大きく変動することになります。

所得から所得控除を差し引き

人によってさまざまな控除があります。基礎控除や社会保険控除、生命保険控除、配偶者控除、扶養控除などです。

前項で求めた所得から、この「所得控除」を差し引くと、税金の対象となる「課税所得」が計算できます。

そのあと、課税所得に対して住民税率をかけ、調整控除を行います。さらに均等割りを足せば、住民税の金額が導き出せます。

実例

たとえば、年収500万円の独身の方の場合を想定してみましょう。

  1. 年収500万円から給与所得控除を差し引く
  2. そこから基礎控除や社会保険料、保険料を差し引く
  3. その金額に住民税率をかける
  4. さらに所得割を差し引き、均等割を足す

このように、住民税の金額は計算します。

この場合、住民税の金額はおおそよ26万円程度になります。

おわりに

今回は、住民税の税額がどのように決まり、どうやって計算するかを解説しました。

住民税の金額は、主に所得と所得控除によって決まります。

個人事業主の場合、その所得とは収入から経費を差し引いて計算します。さらに、その所得に対して、さまざまな種類の控除が適用されます。

たとえば、配偶者控除や扶養控除、保険料控除などがあります。それらの控除をすべて適用すると、「課税所得」が計算されます。この課税所得の金額によって住民税や所得税などの税額が計算されることになります。

個人事業主の場合、扶養者控除や保険料控除など、まずは適用される控除はすべて利用します。

さらに、「経費を増す」ことでも所得を縮小できるので、結果的に支払う税金を安くすることにもつながります。

個人事業主たるもの、ただ指をくわえていても税金は安くなりません。むしろ、非常なまでに税金で搾り取られることにもなりかねません。

ですから、控除の対象となる条件を積極的に増やしたり、必要経費を増すことで積極的な将来投資をするとか、とにかく節税を建設的に行うことが重要です。

ただし、経費を増すといっても、無駄なものに使い、手元のお金がスッカラカンなんてことにならないように注意も必要です。

ようは、何にどれだけ使い、どれだけ手元に残すか、というバランスが重要なのです。

それと同時に、単純に「稼ぎを増やす」ことも大前提として考えていくことも忘れてはいけません。