奥さんがパートで働いている場合、青色事業専従者として両立できるのか?

青色申告のメリットのうちに、専従者、つまり生計を1つにする配偶者あるいは親族への給与が経費として認められるというのがあります。

個人事業主(納税者)の営む事業に従事していることが条件ですが、奥さんなどに支払った給与を経費として計上することが可能です。

これを「青色事業専従者給与」といいます。

しかし、奥さんがパートなどで収入がある場合、この専従者給与という制度は適用されるのでしょうか。

今回は、そのあたりの線引きについて説明しますね。

専従者給与ってどんな制度?

専従者給与とは、配偶者あるいは親族に支払った費用を経費として計上できますよ、といった内容のものです。

通常、身内に支払った費用は、たとえ給与でも経費にはできません。しかし、「専従者給与」の届け出をすると、要件によっては経費として認められる場合があります。

まず、専従者給与として認めてもらうには、

配偶者もしくは親族が納税者と生計を一つにしている必要があります。ですから、たとえ別居していても生計を一つにしていればOKということです。

さらに、専従者ですから、事業にもっぱら従事している必要があります。また、従事した期間や仕事内容と支払った費用が対価として相当であると認められる必要があります。

このような要件を満たしている場合は、専従者(奥さんあるいは親族)に支払った給与を経費とすることができます。

奥さんがパートで収入があっても専従者給与は認められるのか

収入が不安定な自営業ですから、奥さんに事業を手伝ってもらいつつ、奥さんがパートで働いているというケースも実際にある話です。

この場合の判断は難しいのですが、専従者給与としてOKなのは、「もっぱら従事している場合」になります。

とはいっても、自営業を手伝っているのであれば、給与を支払うべき。そして、実際に支払っているのであれば、それを経費とするべきだと考えます。

ただ、やはりルールがありますから、自分の考えだけでは通さないのが税制です。

専従者はもっぱら従事している必要があるため、パートのほうの収入が多かったり、勤務時間が長かったりした場合は、専従者給与が認めれるのか、その線引きにおいて税務署の判断は厳しくなることが予想されます。

ですから、専従者とする場合は、パートでの収入の割合を考えつつ、その制度を使うかどうかを検討したほうがいいです。パート先の収入額によっては、専従者給与が認められないことも考えられます。

ただ、前提として、奥さんや親族に自営業を手伝ってもらっていて給料を払っているのであれば、それは経費にしたいところです。

もっぱら従事しているというややこしい制限はありますが、うまく活用すれば、かなり節税効果は高いです。

おわりに

青色事業専従者給与という制度。一見難しそうなものですが、数十万円単位で経費計上できるので、節税の効果は非常に高いです。

ただし、

  • 生計を一つにしている配偶者もしくは親族
  • 事業にもっぱら従事していること
  • 事前に申請していること

などの要件があるため、制度の利用を躊躇ってしまう人もいるのではないでしょうか。

今回の内容のように、パートでもある程度の収入がある配偶者などは、専従者とすることは難しいです。しかし、パートとして所属していてもほとんど収入がない場合は、事業にさしつかえがないので、専従者としても問題がないという考え方です。

このあたりの線引きの判断は難しいところがあるので、税務署に直接問い合わせるか、税理士などに相談してみたほうがいいでしょう。

しかし、この制度を採用できる環境であれば、使わない手はありません。それだけでかなり所得を縮小できるので、節税に直結します。

しかし、専従者給与を提供すると、配偶者控除や扶養控除は受けられなくなります。ですから、それでも損をしないような給与設定にする必要があります。

また、給与の金額によっては、専従者本人が課税対象となることがあります。そうなれば、世帯単位の税金がかえって高くなってしまう可能性もあるので注意しましょう。

個人事業主たるもの、節税するにはかなり骨が折れます。しかし、知識がないが故に高い税金を取られてしまうのは避けたいところです。

ですから、少しずつでも確定申告の知識を深め、節税を図れるようにしていくことが大切です。

白色申告でも奥さんに給与を支払い、所得控除を受けることは可能か

確定申告をする際、さまざまな費用を経費として計上したり、保険料などが控除されたりして税金を計算します。

当然、収入から差し引かれる金額が多くなれば、それだけ所得も縮小されるので、税金は安くなります。

配偶者がおり、事業の一部を手伝ってもらっている場合、青色申告であれば奥さんに給与を渡し、それを経費計上することができます。

しかし、青色申告の申請を忘れており、今回は白色申告する場合、このように奥さんに支払った給与を経費として計上できるのでしょうか。

年間を通せば比較的大きな費用になるはずですから、このあたりの知識はしっかり押さえておく必要があります。

専従者給与と専従者控除という制度がある

実は、確定申告の際に、奥さんを専従者として扱い、費用に計上する、もしくは控除の対象とすることが可能です。

ただし、それにはいくつかの条件があるので理解しておきましょう。

専従者とは、個人事業主(申告者)と生計をひとつにする配偶者もしくは15歳上の親族になります。

専従者に支払った給与を費用算入するには、その人が年間で6ヶ月上その事業にもっぱら従事していることが条件となります。あるいは、従事できる期間の半分以上を費やしていることが求められます。

その要件を満たせば、白色申告の場合は「専従者控除」として、青色申告の場合は「専従者給与」という形で費用算入できます。

白色申告の専従者控除とは?

前項のように、白色申告の場合は「専従者控除」という制度が適用されます。

  • その専従者が配偶者の場合は86万円、配偶者でない親族の場合は50万円

もしくは

  • 所得の合計(専従者控除する前)÷(専従者の数+1)で計算した金額

 

これらのうち低い方の金額を控除することができます。

なお、冒頭での説明のように、その要件を満たすには

  • 生計が一つであること
  • 12月31日時点で年齢が15歳以上であること
  • 年間で6ヶ月以上の期間において事業にもっぱら従事していること

という要件を満たしている必要があります。

たとえば、実例を出して説明してみます。

  • 収入500万円
  • 経費200万円
  • 所得300万円
  • 300万円÷(1+1)=150万円

ただし、専従者控除の上限は86万円です。

しがたって、この計算で出した「150万円」より「86万円」のほうが低い金額になるので、控除額は86万円ということになります。

なお、配偶者ではなく、親族の場合は、この上限が50万円になります。

専従者控除を使うと配偶者控除や扶養控除は適用されなくなる

ここまでの内容のとおり、専従者に支払ったお金は、「専従者控除」という制度を使うことで所得から控除されます。実際にお金を配偶者に支払っていなくても、節税のためにこの制度を利用することはできます。

白色申告の「専従者控除」は事前の申請なども必要なので、確定申告のまえに取り入れることも可能です。

ただし、専従者控除を適用した場合、たとえば配偶者に給与を支払ったという場合、「配偶者控除」は受けられなくなります。

配偶者控除は38万円ですから、専従者控除のほうがお得なわけですが、そのことを理解したうえで計上するようにしてください。

おわりに

個人事業主ともなれば、どの費用を経費として考えればいいのか、あるいはどういった控除が適用されるのか、それによって所得が大きく変わってくるので、神経を使うところではあります。

今回は、白色申告における「専従者控除」についての説明でした。最大86万円の控除がされるので、かなり大きな節税効果があります。

しかし、その専従者控除を提供することで、配偶者控除を受けられなくなります。

このあたりのデメリットはしっかり理解しておきましょう。

要するに、どっちを適用すればメリットが大きいのか、そのラインをきちんと把握することがポイントになります。

はじめての確定申告に備えている人は、何かと難しく感じると思います。ただ、計上の仕方を工夫するだけで支払う税金の額も変わってくるので、一つ一つ知識を深めていきましょう。

個人事業主は業務中の食事代を経費として落とせるのか

個人事業主は収入を縮小するために、どれだけ経費を詰めるかが一つのポイントになります。もちろん経費になるものもあれば、経費として認められないものもあります。

ですから、そのライン引きをしっかり理解しておく必要があります。

そのなかでも経費になるのか疑問になるのが食事代。

どこまでがオッケーで、どこまでがNGなのか。食事代における経費の線引きについて説明したいと思います。

基本的に食事代は経費にならない

個人事業主の場合、たとえ業務中でも食事代は経費として認められません。その理由ですが、食事というのは、仕事をしていようが、プライベートだろうが、必ず食べるからです。

つまり、「仕事をしてなくてもご飯は食べるでしょ?」というのが税務上の考え方です。

ですから、たとえ仕事中の食事代だとしても、その支出は「家事費」と見なされるため、必要経費として計上できないのです。

なんか、納得できるようなできないような、個人事業主としてはちょっと痛いですよね。

事業上の食事代が経費として認められるケース

ただし、全部が全部、経費として計上できないわけではありません。

どのようなシチュエーションで食をして、事業内容を加味したうえで、事業に直接関係があると判断できるようなら、それは食事代として経費に計上することができるのです。

取引先などを訪問する際に取る食事の費用

この場合の食事代は、前項のように家事費として考えられるため、必要経費にはなりません。

ただし、立ち寄った喫茶店で仕事をした場合や、取引先に早く着きすぎて、その間に喫茶店で仕事をしていた場合は、経費としてOKということになります。

簡単に考えると、事業をするうえで必要になってしまったものは経費となり、プライベートでも起こり得る食事などは経費にはならない、といったところでしょうか。

なお、喫茶店などの費用は、どのようなケースで何をしていたのか、その詳細をレシートなどに書き留めておくとベターです。つまり、業務にどう関係しているのかをしっかり説明できればOKということになります。

出張中の食事代

たとえば、出張するときなど、その先で食事を取ることがあります。その際に従業員とまたは自分だけで食べたときの食事代は、原則として必要経費にすることはできません。

しかし、ホテルの宿泊代などの食事代が含まれるケースもあります。その場合、食事代の分がそこまで高額でなければ、ホテルの宿泊代と一緒に経費計上しても問題はありません。

取引先への接待、もしくは打ち合わせによる食事代

では、取引先など、事業に触接関係する人と食事をした場合はどうでしょうか。

この場合は、その食事が事業上必要であることが明確なケースであれば、かかった食事代は「会議費」あるいは「接待交際費」として経費計上することができます。

ただ、事業上の食事代ということをしっかり証明するために、そのときもらった領収書の裏に、「どの取引先の○○さんと、どのような内容の打ち合わせで使った」という内容をメモ書きしておくと良いです。

つまり、プラベートで使った費用じゃないよと証明できればいいのです。

事業上のミーティングなどで使った食事代も経費として認められるので、比較的計上しやすい費用だと思います。

あらゆる食事代を経費にするには

ここまでの説明のとおり、食事代というのは経費になるかならないかの線引きが少し曖昧なところがあります。

業務をしていてもプライベートでも取る必要のある食事の費用であれば、経費にはできません。しかし、事業を営むうえで直接関係があるような食事の費用であれば経費になります。

つまり、「打ち合わせ」「ミーティング」「接待」など、事業をするうえで有益な場合の食事代は経費になるのです。たとえ友人との食事会でも、ビジネスをするうえで有益な情報が得られる場合も考えられます。これも、言ってしまえば必要経費と見なすことも可能なのです。

ちょっとグレーな手法ではありますが、家族や友人との食事代を「ビジネス上の食事」を見なし、経費計上することはよくありますし、ほとんどの人がやっていることです。

こういう方法でもとって経費を上乗せしていなかいと、所得が増える一方で、つまり課税金額が高くなるだけです。

ですから、「事業上必要な食事」ということにして、せかせか領収書を集めるのは、ほとんどすべての経営者が行っているくらいです。まぁ、「暗黙の了解」的な要素はありますが。

おわりに

今回は、食事代における経費計上の線引きについての解説でした。

食事代にかぎらず、必要経費としてOKなのか、それともNGなのかは、なかなか判断が難しいところもあります。

ただ、事業上必要だったということが説明できればいいので、そのような理由をつけて、食事代はせかせか経費計上するのが常套手段です。

実際、ほとんどの経営者は食事代を必要経費として落としています。

ただ、ちょっとグレーの要素があるのも事実です。ですから、あまりにも派手に経費計上すると、税務調査のときに引っかかってしまう可能性もあるので、高額な食事代を経費として積み込みすぎるのは注意が必要です。

これは、あくまでもバランスの問題なので、収入に見合った経費計上を心がけましょう。

個人事業主の引っ越し費用は経費として計上可能なのか

個人事業主の方は自宅を事務所代わりに使っていることがあります。その場合、自宅の家賃は、その使用割合に応じて経費として計上することができます。

では、自宅兼事務所を引っ越す場合、それにかかる費用は経費として落とせるのでしょうか。

今回は、そのあたりのことについて詳しく解説します。

引っ越し費用は経費に計上できる

会社やオフィスであれば、引っ越しにかかった費用はもちろん経費になります。

しかし、個人事業主の場合、自宅も兼ねているので、引っ越しにかかった費用を全額経費として落とすのは難しいです。

では、引っ越し費用のうち、どれくらいなら経費として認められるのでしょうか。

事業用と住居用の割合で費用を按分する

ここでポイントになるのは、自宅のスペースのうち、どれくらいの割合を事業(仕事)で使っているのかという点です。

たとえば、自宅のスペースのうち、50%を仕事場として使用していれば、その家賃の半分を経費として見なすことができます。

これを「按分する」といいます。

この考え方は家賃だけではなく、引っ越し費用にも使えます。

ここでは簡単に説明しますが、仕事用のスペースが自宅の半分あれば、引っ越し費用もその半分は経費として認められることになります。

引っ越し費用は項目別に勘定科目が異なる

たとえば、引っ越し費用に40万円かかったとします。按分すると50%の使用割合だった場合、「20万円を一括経費にできる」というと、そういうわけにはいきません。

引っ越し費用のなかには、敷金や礼金、引っ越し料金、仲介手数料、火災保険など、さまざまな費用が含まれています。

実は、これらの費用項目ごとに勘定科目は異なり、しっかり仕分けして計上する必要があるんです。引っ越し費用を経費として落とすにしても、結構面倒臭いですね。

では、引っ越し費用の項目ごとに、どの勘定科目に仕分けすれば良いのか説明します。

敷金

敷金は、その賃貸住宅を退去するときの部屋の修繕費にあてられる費用です。敷金は入居するときに支払われ、退去するときの修繕費を相殺し精算されます。

たとえば、敷金を10万円支払ったとします。退去時の修繕費として7万円請求された場合、敷金があてられます。この場合、差額の3万円が退去時に戻ってくることになります。

実は、経費を計上するときは「発生主義」という考え方が採用されます。これは債務が確定したタイミングで経費計上できるという考え方です。

つまり、債務がまだ確定していない状態では、経費を計上することはできません。

敷金の場合、はじめの入居時に支払うのは確かです。しかし、そのうちいくら修繕費として負担するかは退去するまでわかりません。つまり、退去時にいくらか戻ってくる可能性があるので、債務が確定していないと見なされるため、入居時に支払ったタイミングで経費計上することはできないのです。

では、どうすればいいのか。

たとえば、退去時に修繕費として7万円を請求されたとします。それで債務が確定したことになります。さらに、事業用として50%の割合で使用した住宅の場合は、按分して「半額の3万5千円」をそのタイミングで経費にすることができます。

つまり、敷金は入居時に支払うものですが、経費として計上できるのは退去時ということになります。

礼金

礼金の場合、勘定科目は「地代家賃」に含まれます。

礼金も同様、按分して考える必要があります。

たとえば、事業用の使用割合が50%であれば、礼金の半額を経費計上できます。この場合、礼金が20万円であれば、10万円は経費として認められます。

この経費として計上する礼金の金額が20万円以下であれば、地代家賃として一括で経費として落とせます。しかし、20万円を超える場合は、長期前払費用として経費計上することになります。

このように、金額によって勘定科目は異なる場合があるので注意してください。

仲介手数料

賃貸物件を不動産屋から紹介してもらう場合、家賃の25~50%程度の仲介手数料がかかります。たとえば、家賃8万円の物件を紹介してもらい、そこで契約した場合、2~4万円の仲介手数料は発生します。

この費用は「支払手数料」または「雑費」として経費計上します。

ただし、仲介手数料も同様、按分して考える必要があります。住宅スペースの半分を事業用として使う場合、仲介手数料の半額を経費計上することになります。

火災保険料

賃貸物件を借りる際は、必ず火災保険に加入する必要があります。保険会社によって保険料は異なりますが、入居するときに支払う費用なので、そのタイミングで「損害保険料」の勘定科目で経費計上します。

鍵の交換にかかった費用

また、賃貸物件を借りる場合、まえの住人が使っていた鍵から新しく交換するケースがあります。まえの住人がスペアキーを作っていた場合、防犯上危険な可能性があるからです。

この交換費用は新しい住人が負担します。鍵交換費用がかかった場合は、「祝言費」もしくは「消耗品費」として経費計上します。

引っ越し業者への依頼料

また、引っ越す場合は、大抵引っ越し業者を利用すると思います。

引っ越し料金は移動距離や時期、あとは荷物の量などによって変わってきます。一人暮らしで近場に引っ越す場合は比較的安く済むケースもありますが、条件によってはとても高額になることもあります。

この引っ越し料金も経費として計上できます。そのときの勘定科目は「雑費」として計上してください。

引っ越しにかかる費用を按分し、事業に使う割合分だけ経費として計上すれば、それだけ所得を縮小できます。

たとえば、引っ越し費用に40万円かかった場合、事業用として按分し、そのうちの半分である20万円を経費として計上します。そうすることで、少しではありますが節税につながります。

補足

ただし、出費を減らすという意味では、どの引っ越し業者を選ぶかというのも重要になります。また、ちょっとした引っ越しのコツを理解しておけば、それこそ引っ越し料金が数万円も安くなることもあるそうです。

引っ越し料金が数万円も安くなれば、手間をかけて経費計上して節税するよりも出費を減らす効果は大きいです。

今回は節税するために引っ越し費用をどう扱うかを説明しましたが、そもそも引っ越し料金を安くするということも考えた方がいいです。

私は引っ越しについては専門外ですが、引っ越し費用を安くする方法について、わかりやすい説明がされている記事を見つけたので参考にしてみてください。

おわりに

今回は、引っ越し費用の経費計上の考え方についての紹介でした。

個人用の自宅とはいっても、そこを事務所としても使用している場合は、その割合に応じて経費計上することが可能です。

たとえば、家賃8万円の住宅のうち半分を事務所として使用していれば、家賃の半分である4万円を経費として計上できます。これを按分するといいます。

同じように、引っ越し費用も按分して経費にすることができます。もちろん事業用のみに使っている事務所の引っ越しであれば、全額経費計上できます。

ただし、引っ越し費用の項目ごとに「勘定科目」が異なります。ですから、引っ越し費用をまとめて計上するのではなく、勘定科目ごとに仕分けして経費計上することになります。

ちょっと面倒くさく感じますが、金額は決して安くはないので、それなりに節税効果はあります。

ただ同時に、引っ越し料金自体を安くすることも考えましょう。そうすれば、経費にするまえの引っ越し料金を数万円単位で節約することができます。

個人事業主として、経費計上して節税を図ることは重要です。しかし、そもそもの出費を減らすことも、手元に資金を残しておくことに直結するわけです。

ですから、必要なものは買って経費計上すればいいんですが、出費をせずに手元に残しておくこともある程度必要になってきます。

これはバランスの問題なので、確定申告を何年か経験するうちに身についてくるでしょう。

確定申告の前に知っておくべき個人事業主が経費として落とせないもの

個人事業主にとって、確定申告は避けては通れぬ道。

そして、確定申告のときに最もかなめとなる考え方が「経費」です。

今までサラリーマンをやっていた人には馴染みがないかもしれませんが、この経費について理解することは非常に重要になります。なぜなら、いくら経費を積むかで税金が大きく変わってくるからです。

ただ、使ったお金を何でもかんでも経費として落とせるわけではありません。あくまでも事業に関係する出費でなければいけません。

今回は、個人事業主の経費として認められないものについてまとめました。

経費の基礎知識

まずは、経費の基礎的なことを理解しておきましょう。

個人事業主の税金は、おもに「収入から経費を差し引いた所得」によって決まります。つまり、経費が増えれば所得が減り、支払う税金も安くなるというわけです。

基本的に、事業に関わるものであれば経費になります。しかし、個人的なもので使った費用は経費として認められません。

これが最も基本的な考え方です。

経費には領収書が必須(レシートでも可)

ただし、ただ経費を使ったからといって、それを証明できるものがなければ通用しません。

そこで必要なるのが領収書です。よくお会計の際に、「領収書をください」という人がいますが、あれは経費として認めてもらうための証拠がほしいということです。

ですから、会計上、経費を計上するのであれば領収書は必ず必要になります。

ただ、少額のものであれば、レシートでも認められます。しかし、高額な会計の場合、名前がないレシートだと、「本当にあなたが使ったの?」ということになるため、領収書が必要なのです。

したがって、明細が載っているレシートでも経費計上するのには有効です。

しかし、場合によってはレシートや領収書が発行されない場合もあります。たとえば、電車賃や自販機で買った飲み物代などです。

たとえ事業用で使ったものでも、レシートや領収書がないと経費にできないのでしょうか。

このような場合は、「出金伝票」が使えます。これに詳細を書くことで、領収書の代わりとすることができます。

個人事業主の経費としておとせないもの

では、経費として認められないものについて紹介します。

 

まず、個人事業主自身のための支払いです。

たとえば、事業主本人の給与や健康診断にかかった費用などは経費にできません。また、スーツや靴なども事業以外に使えるため、経費にはできません。

事業主が仕事で出張した場合は経費になりますが、個人的な観光目的で旅行に行った場合は経費にはなりません。

また、事業とは関わりのないクラブ参加費などもダメです。

 

もちろん事業とは関係のないものも経費にはなりません。

たとえば、個人的な付き合いでいった飲食代などです。あくまでも事業上関係のあるものという定義があるので、個人的な付き合いのものはNGということになります。

 

家庭用の食材や雑費も同様です。

これらも事業とは関わりがないと見なされます。したがって、経費にはなりません。

ただ、事業用と家庭用のどちらでも使用するものもあります。

たとえば、家賃や水道光熱費、車、ガソリン代、インターネット通信料、自動車保険、火災保険など、家や自動車をどちらにも使用している場合があります。

これらの費用は、事業と家庭での使用割合を考えたうえで、経費にすることができます。使用割合が半分であれば、その出費の半分は経費として認められます。

 

このように、個人事業主の経費として落とせないものは意外と多いです。しかし逆に、こんなものも経費としてOKなんだという部分もあります。

ですから、その線引きをしっかり理解し、経費計上で漏れがないようすることが大切です。

1点10万円以上するものは資産になる

1点につき10万円以下のものであれば、一括で経費計上しても問題ありません。

しかし、それ以上するパソコンや車など、高価なものは一括で経費として落とすことはできません。なぜなら、それは「固定資産」になるからです。

この固定資産は一瞬にしてなくなるものではありません。購入後、数年にわたって使い続けることになります。ですから、固定資産は「数年にわたって経費計上してくださいね」となるわけです。

たとえば、新車を買った場合、その耐用年数は6年になります。耐用年数とは、会計上、経費を計上してもいい年数のことです。

したがって、300万円の新車を買った場合、6年間にわたって経費として計上していくことになります。300万円を6年で割ると、1年で50万円。つまり、1年間で経費に落とせるのは50万円ということになります。

これが「減価償却」という考え方になります。

おわりに

このように、経費という概念は意外と面倒です。それによって納める税額に大きな違いが出てくるので、国もきっちきちに取り締まっているという印象です。

ただ一方で、事業として使った費用は経費として認めますよ」と言っているわけです。ですから、事業で使った費用であれば、どんどん経費として計上すればいいのです。

はじめて個人事業主として確定申告する人にとって、この感覚をつかむのには時間がかかるかもしれません。しかし、今後の税金に大きく影響することなので、きちんと理解しておくべきポイントです。

今回の説明のとおり、費用には経費としてOKなものとNGなものがあります。そのラインをしっかりと把握し、経費として認められるものはドンドン計上しましょう。

反対に、経費として認められないものに関しては注意が必要です。

この感覚を徐々に身につけ、可能な限りの節税を試みることが、個人事業主にとって肝心なことです。

確定申告後の所得によって決まる住民税の計算方法

国民1人あたりが支払う税金のなかで、住民税はかなりのウェイトを占めます。会社勤めの人は毎月、給与から差し引かれているので、それほど意識することはないかもしれません。

しかし、個人事業主のような立場の人の場合、住民税の用紙が送られきて、その金額の高さに驚いた経験も少なくないはずです。

では、その住民税はどのように決まるのでしょうか。

住民税というのは、基本的に住んでいる自治体に納める税金のことです。税額はその人の所得によって決まります。

したがって、個人事業主の場合は、確定申告を行い、所得が確定してから住民税の計算をします。そのため、住民税は1年後払いになっています。つまり、今支払っている住民税は「去年分」ということです。

今回は、その住民税についての解説です。

住民税の金額は控除の種類や金額によって変わる

住民税の税額は、主にその人の所得によって決まります。その所得とは、収入からさまざまな費用が控除されたうえで計算されます。

したがって、「収入」と「控除の金額」によって住民税は変動するのです。なお、個人事業主の場合は、「経費」という概念があるので、それによって所得も大きく変動します。

扶養家族による控除

たとえば、扶養する家族がいる場合は、その条件によって収入からいくらか控除されます。したがって、扶養家族がいることで住民税も安くなるのです。

扶養家族の条件による控除額は、次のとおりです。

配偶者控除

  • 所得が38万円以下の場合
  • 控除額は33万円

配偶者特別控除

  • 所得が38万円超え76万円未満の場合
  • 控除額は3~33万円まで

扶養控除

  • 16歳以上の子どもがいる場合
  • 33万円

特定扶養控除

  • 19歳以上23歳未満(大学生)の子どもがいる場合
  • 控除額45万円

このように、配偶者がおり、配偶者の所得が一定の範囲内であれば扶養控除の対象になります。また、子どもがいても、当然扶養控除は受けられます。

なお、上記における「配偶者の所得」とは、「年収から給与所得控除65万円を差し引いた金額」です。つまり、配偶者がアルバイトやパートで稼ぎがある場合、その年収が103万円以下であれば配偶者控除の対象となります。

あるいは、103万円を超えてしまった場合でも、年収141万円未満であれば配偶者特別控除の対象となります。

それぞれの条件によって世帯主の所得から一定額が控除されるため、その人の所得が縮小されることになります。結果、住民税も安くなるのです。

保険料も控除の対象

所得から控除される保険料には、大きく分けて「生命保険料」と「地震保険料」の2つがあります。それぞれの控除額は次のとおりです。

  • 生命保険料控除 最大7万円
  • 地震保険料控除 最大2万5千円

保険に加入していれば、満額ではありませんが、その条件によっていくらかは控除されます。

住民税は後払い

説明のように、住民税はその人の所得によって決まり、さらにさまざまな控除額も影響します。つまり、その人の年収なり、さまざまな状況が決定してからでないと、住民税額を決定することはできません。

したがって、住民税は、その人の所得や控除額が決定したのち、翌年に請求がかかることになります。つまり、住民税は1年後払いになるのです。

すなわち、今年払っている住民税は、去年の所得をもとに計算されたもので、つまり去年分の住民税ということになります。

住民税の税額はどうやって決まる?

ここまでの解説を踏まえ、住民税はどのように決まるのかを具体的に見てみます。

収入(売上)から経費を差し引く

あくまでの住民税は所得によって決まります。ですから、その所得が減れば、住民税も安くなるわけです。

個人事業主の場合、売上に対して「経費」という概念があります。売上から経費を差し引き、そのうえで所得を割り出すのです。

つまり、経費の金額によっては、所得額は大きく変動することになります。

所得から所得控除を差し引き

人によってさまざまな控除があります。基礎控除や社会保険控除、生命保険控除、配偶者控除、扶養控除などです。

前項で求めた所得から、この「所得控除」を差し引くと、税金の対象となる「課税所得」が計算できます。

そのあと、課税所得に対して住民税率をかけ、調整控除を行います。さらに均等割りを足せば、住民税の金額が導き出せます。

実例

たとえば、年収500万円の独身の方の場合を想定してみましょう。

  1. 年収500万円から給与所得控除を差し引く
  2. そこから基礎控除や社会保険料、保険料を差し引く
  3. その金額に住民税率をかける
  4. さらに所得割を差し引き、均等割を足す

このように、住民税の金額は計算します。

この場合、住民税の金額はおおそよ26万円程度になります。

おわりに

今回は、住民税の税額がどのように決まり、どうやって計算するかを解説しました。

住民税の金額は、主に所得と所得控除によって決まります。

個人事業主の場合、その所得とは収入から経費を差し引いて計算します。さらに、その所得に対して、さまざまな種類の控除が適用されます。

たとえば、配偶者控除や扶養控除、保険料控除などがあります。それらの控除をすべて適用すると、「課税所得」が計算されます。この課税所得の金額によって住民税や所得税などの税額が計算されることになります。

個人事業主の場合、扶養者控除や保険料控除など、まずは適用される控除はすべて利用します。

さらに、「経費を増す」ことでも所得を縮小できるので、結果的に支払う税金を安くすることにもつながります。

個人事業主たるもの、ただ指をくわえていても税金は安くなりません。むしろ、非常なまでに税金で搾り取られることにもなりかねません。

ですから、控除の対象となる条件を積極的に増やしたり、必要経費を増すことで積極的な将来投資をするとか、とにかく節税を建設的に行うことが重要です。

ただし、経費を増すといっても、無駄なものに使い、手元のお金がスッカラカンなんてことにならないように注意も必要です。

ようは、何にどれだけ使い、どれだけ手元に残すか、というバランスが重要なのです。

それと同時に、単純に「稼ぎを増やす」ことも大前提として考えていくことも忘れてはいけません。

確定申告におけるふるさと納税のメリット

巷でよく耳にする「ふるさと納税」。

しかし、ふるさと納税がなんなのか、実は良く理解していない人もいるのではないでしょうか。

そこで、ふるさと納税の基礎と、それが確定申告でどうメリットがあるのかを紹介したいと思います。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税はその言葉どおり、納税をイメージすると思いますが、実は違います。

ふるさと納税は、応援したい都道府県や市区町村などの自治体へ「寄付する」意味合いがあります。

では、なぜ「ふるさと納税」なんて名目になっているのでしょうか。

その理由ですが、ふるさと納税により2,000円以上の寄付をすれば、確定申告のときに住民税や所得税がいくらか控除の対象となるからです。

これがふるさと納税と確定申告が関係する理由です。

ふるさと納税の意図

ちなみに、ふるさと納税がなぜ始まったのでしょうか。

それは、つまり「地方再生」のためです。

地方に住んでいる若者は、進学や就職によって都会に移住するケースが非常に目立ちます。これが地方の過疎化の原因でもあります。

しかし、地方に住んでいても若者が活躍できる場が少ないもの事実。ですから、若者は進学や就職を機に、都会へ移り住むのです。

そのような流れにより、地方に住む若者は必然的に少なくなります。そうなれば、税金をその自治体へ納める人も少なくなるわけですから、地方自治体の力は弱くなる一方です。

反対に、若者が都会へ集中すれば、その自治体の力は強くなります。これが、いわゆる自治体の格差問題です。

そして、それをできるだけ防ぎ、地方の再生を図ろうというのが「ふるさと納税」というわけです。

ふるさと納税を活用すれば、地元や好きな地域へ寄付することができます。それには制限がなく、好きな地域へ寄付でき、さらに複数の自治体も選べます。

この動きにより、地方を元気にしようという、さらには日本を元気にしようと気運が高まる効果があります。

ふるさと納税のメリットとは?

では、一般の人がふるさと納税をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、前項のとおり、ふるさと納税で寄付した金額は、税金の控除対象となります。ですから、個人事業主にとっては節税効果が見込めます。

また、寄付をした自治体から返礼品という形で、その地域の特産品や旅行券などがもらえます。

さらに、2015年からふるさと納税の制度が変更されました。

それにより、寄付金の控除額が2倍になりました。また、寄付先を5つの自治体以内にすれば、確定申告の必要がなくなりました。

さらに、ふるさと納税に積極的な姿勢の自治体も増え、その返礼品が年々豪華になっています。

ただ、そういった流れを問題視するところもあり、2017年には、寄付金の3割以下で返礼品額を設定するようになったわけです。

ふるさと納税による税金の控除について

ふるさと納税によって税金からいくら控除を受けられるかは、その人の収入や家族構成によって違ってきます。

ふるさと納税を利用するには、次の流れに沿って進めましょう。

  1. 寄付したい自治体を選ぶ
  2. ふるさと納税の申し込みをする
  3. 寄付する
  4. 自治体から返礼品と受領書が届く
  5. 確定申告のときにその受領書を一緒に提出する
  6. ふるさと納税をした年の所得税から還付される
  7. 翌年度分の住民税が減額になる

ふるさと納税への申し込みは、ふるさと納税のサイトや、もしくはそれぞれ各自治体のホームページからでもできます。

ふるさと納税の支払い方法ですが、次の方法があります。

  1. 現金書留
  2. 銀行振込
  3. クレジットカード払い
  4. コンビニ払い

これらの方法で払い込むと、その自治体から受領書が届くはずです。その受領書は確定申告のとき一緒に提出することになるので、なくさないよう大切に保管しておきましょう。

ふるさと納税の予備知識

前項で、ふるさと納税は寄付金で、その代わりに返礼品を受け取るシステムなのですが、実はふるさと納税を利用して、その際にあなたが負担するのは2,000円だけです。

つまり、1年間の負担が2,000円だけで、その自治体から特産品などの返礼品を受け取れることになります。

ふるさと納税の限度額

実は、ふるさと納税で寄付できる金額には限度があります。

たとえば、年収300万円程度の人の場合、おおよそ1~3万円程度のふるさと納税が可能です。年収500万円程度であれば、4~6万円のふるさと納税が可能です。

このように、負担金2,000円で寄付できる金額は、年収によって異なります。それ以上の寄付も可能ではありますが、自己負担に金額を多くなるので注意するポイントです。

ふるさと納税によって税金を減額する方法

では、ふるさと納税した分、税金を減らしてもらうための方法になります。

ふるさと納税をすると、寄付した自治体から「寄付証明書(控除証明書)」が送られてきます。その内容をもとに、確定申告で「○○万円を寄付した」という内容を申告すれば、その金額分が控除の対象となります。

なお、確定申告していない場合でも、「ワンストップ特例制度」というのを活用すれば、きちんと控除を受けられます。

ふるさと納税した自治体へ「特例申請書」を提出します。そうすると、その内容が住まいの自治体へ伝えられ、所得税や住民税の控除として反映されるといった流れになります。

ただし、この「ワンストップ特例制度」を活用するには、ふるさと納税をする自治体は5つ以内であることが条件です。これを守っておけば、たとえ確定申告しなくても、ふるさと納税で寄付した分が控除される仕組みです。

おわりに

個人事業主にとって、ふるさと納税も立派な節税対策に1つです。なぜなら、ふるさと納税で寄付した金額は、その分、住んでいる自治体の税金から控除されるからです。

さらに、ふるさと納税した自治体からは返礼品が送られてくるので、非常にメリットが大きいと思います。

その際、収入における限度額を把握しておけば、自己負担は2,000円だけで済みます。

その点に注意しておけば、個人事業主にとって非常に有効な制度だと思います。

法人化は節税効果が高い?個人事業主が法人化する理由

個人事業主としてスタートすると、同じような立場の人と出会う機会もそれなりに増えてきます。もちろん中には事業を法人化し、経営している立場の人もいます。

そこで疑問になるのが、

  • なぜ法人化するのか?
  • 法人化するタイミングは?
  • 法人化すると税金が安くなるのか?

など、知識がないために、さまざまな疑問が浮かんできます。

今回は、公人事業主がいずれは視野に入れる「法人化」のメリットとデメリットについて解説しますね。

個人事業主から法人化するラインは年間所得500万円以上

個人事業主として数年経ち、事業がある程度軌道に乗ってくると、当然ながら売上が増えてきます。それにともない所得も増えるため、毎年の所得税も増えます。

所得税とは、文字どおり所得に対する税金です。その所得が増えれば、所得税の税率も高くなる仕組みになっています。

個人事業主の所得税率

所得別の税率は、次のとおりです。

【個人事業主の所得に対する税率】

  • 所得195万円以下 税率5%
  • 所得195万円超え330万円以下 税率10%
  • 所得330万円超え695万円以下 税率20%
  • 所得695万円超え900万円以下 税率23%
  • 所得900万円超え1,800万円以下 税率33%
  • 所得1,800万円超え4,000万円以下 税率40%
  • 所得400万円超え 税率45%

このように、所得が増えるにつれて税率も高くなります。

高額所得者が「税金で半分持ってかれる」という話を聞くのは、この税率が高くなるからです。

法人税率

それに対して、法人化すると、その利益に対して「法人税」というのがかかります。

【法人税率】 

  • 利益が400万円以下の部分 税率約21.4%
  • 利益が400万円超え800万円以下 税率約23.2%
  • 利益800万円超え 税率約34.3%

このように、「個人事業主の所得税率」と「法人の法人税率」では違いがあります。

個人事業主のままが良いのか、法人化した方が良いのか、その分かれ目は「所得(利益)に対する税率」が大きく関係しています。

つまり、利益によって所得税率が法人税率より上回った場合は、法人化したほうが税金は安くなりますし、所得税率のほうがまだ低い段階であれば、法人化せずに、個人事業主のままでいたほうが税金は安くなります。

これが最もシンプルな考え方です。

そして、その境目となるラインは、所得(利益)が500万円を超えるあたりです。所得が500万円以下なら個人事業主、500万円を超える場合は法人化したほうが低い税率が適用され、節税につながります。

また、法人化することで、個人事業主では受けられなかった税務上の恩恵もいくつかあります。

そのあたりのことを踏まえつつ、法人化を検討してみましょう。

法人化するメリット

それでは、法人化するメリットを押せておきましょう。

給与所得控除が受けられる

給与所得控除とは、主にサラリーマンなどが受けられる恩恵で、所得に対して一定額が控除され、それに対して所得税がかかります。

したがって、控除されることにより、所得税が安くなるのです。

【給与所得控除額】

給与所得控除額は、給与の収入額によって変わります。

  • 給与180万円以下 40%控除
  • 給与180万円超え360万円以下 30%控除
  • 給与360万円超え660万円以下 20%控除
  • 給与660万円超え1,000万円以下 10%控除
  • 給与1,000万円超え1,500万円以下 5%控除
  • 給与1,500万円超え 245万円(上限)控除

この控除額が給与から差し引かれ、その金額に対して所得税がかかります。つまり、控除された分、所得税は安くなることになります。

給与所得者はこのような控除の恩恵が受けられるのです。

法人化すると、あなたの立場は会社の社長あるいは役員ということになり、個人事業主から「給与所得者」になります。つまり、上記のような控除が受けられる立場になるのです。

個人事業主の場合は、この給与所得控除はまったく受けられません。

したがって、法人化することで、あなた自身に「給与所得控除」が受けられるというメリットがあります。

役員報酬を支払うことができる

法人化することで、家族を役員として採用して給与を支払うことができます。それにより、所得を分散できるので、その結果、所得税を抑える効果があります。

たとえば、法人化し、そのうち社長(あなた)一人に全額給与として支給すれば、あなたの所得税率が高くなってしまいます。

そこで家族を役員とし、その人にも給与を支払うことにより、所得が分散されいます。1人あたりの所得が減れば、それにともない税率も低くなるので、支払う所得税は総合的に見て低くなります。

法人化すれば消費税が2年分節約できる

個人事業主の場合、売上が1,000万円を超えると、その時点で売上に対して消費税もかかってきます。

しかし、法人の場合は、「2期前の売上が1,000万円以上ある場合、消費税が発生する」という決まりになっています。

つまり、法人化すれば2年間は消費税がかからないということになります。

たとえば、売上1,000万円を超えると、個人事業主はその時点から消費税を支払うことになります。

そこで法人化することで、2年間は消費税を支払わずに済みます。もちろん法人化しても2年後からは消費税を支払うことになりますが、法人化してからの2年間にかかる消費税は実質免除されることになります。

法人化することで会社の生命保険に加入できる

個人事業主であれば、普通に個人として生命保険に加入していると思います。その保険料は所得控除の対象になりますが、その恩恵は微々たるものです。

しかし、法人化すれば、会社の保険として生命保険に加入することができます。

そのメリットは、まず保険料の全額もしくは半額を経費として計上できるという点です。つまり、節税効果があるのです。

また、会社に支払っている保険料は経費とすることができ、さらにそのお金を内部保留することで、社長を退く際、退職金として支払うことができます。

実際、この方法が一般的に良く用いられています。

おわりに

このように、個人事業主から法人化することで、さまざまなメリットがあります。

ただ、あくまでも所得(利益)の金額によるため、そのラインをしっかり見極めることも重要になります。

なお、法人化にあたっては、メリットだけではなく、デメリットも存在します。相殺すると、メリットのほうが大きくなる可能性はありますが、きちんとデメリットについても理解しておく必要があります。

法人化のデメリットについては、また別の記事で紹介したいと思います。

確定申告の帳簿付けで12月発生した費用を翌年1月に支払う(受け取る)場合の費用計上

確定申告に備え、日々記帳をコツコツやっているかと思います。その際、次のようなことを疑問に思ったことはないでしょうか。

12月の経費を支払う時期が翌年1月の場合、計上は今年分にするの、それとも翌年に回すの?

12月の売上が翌年1月に振り込まれる場合、売上は今年分、それとも翌年分になるの?

といったように、年をまたぐ取引がある場合、今年分として計上するべきなのか、翌年分の計上に回すのか、迷ってしまう人もいるはずです。

そこで、今回は決算月(12月)をまたぐ取引の場合、その費用計上の時期について説明しますね。

経費計上における「発生主義」という考え方とは?

たとえば、事業上の発注などで、注文した月に経費として計上するのか、それとも実際に仕入れ分の費用を振り込んだ翌月に経費計上するのか、どちらが正しいのでしょうか。

これが年をまたぐタイミング、つまり12月か翌年1月に経費計上するかで、その年の会計が変わってくるので、計上のタイミングは非常に重要です。

このような場合は「発生主義」という考え方が採用されます。

つまり、その費用が発生したタイミングで計上するという考えです。

たとえば、12月に発生した経費を実際に支払ったのが翌年1月になった場合でも、発生したのはあくまでも12月なので、「12月分の経費」として計上するのです。

これが発生主義です。

この発生主義という考え方について、国税庁のホームページには、次のような内容が書かれています。

必要経費として計上できる金額は、その年に債務が確定した金額です。したがって、たとえその年に支払った費用でも、その年に債務が確定していない場合は、その年の費用にはなりません。

一方、その年に支払っていなくても、その年に債務が確定しているものに関しては、その年の費用となります。

つまり、実際に支払った支払っていないに関係なく、債務が確定しているかがポイントになるようです。

ですから、債務が確定した時点で経費として計上するのが最も正確で、無難です。

たとえば、「今年は利益が多いから、年を越す前に経費を先払いしておこう」なんてことが認められてしまえば、簡単に経費を増やすことができてしまいます。

ですから、債務が確定してない以上は、経費として計上できませんし、債務さえ決定していれば、経費として認められるというわけです。

事務所の家賃前払いの場合はどうなるの?

たとえば、事務所を借りている場合もあるはずです。大抵の場合、家賃は前払いになります。ですから、8月分の家賃は7月に支払うのが一般的です。

この場合、実際に家賃を支払ったのは7月になります。しかし、支払い義務が生じるのは8月になってからなので、家賃の経費は8月に計上することになります。

ここで厄介なのは、12月に支払う家賃です。

その場合、支払ったのは12月ですが、それは1月分の家賃になります。したがって、債務が確定するのは1月ということになります。

ですから、この場合、経費として計上できるのは翌年1月ということになります。

このように、「12月に支払っても経費となるは1月」というケースがあります。少し複雑な考え方になりますが、「発生主義」は必ず覚えておきましょう。

収入(売上)も発生主義が適用される

ここまでは、経費を計上するタイミングとして、発生主義が適用されることを説明してきました。

実は、この考え方は収入(売上)にも適用されます。

同様に、国税庁のホームページにも次のような内容が書かれています。

その年に収入となる金額は、たとえ年末までに現金を受け取っていなくても、収入の権利が確定した金額になります。

このような内容が記載されています。

つまり、収入の場合も、実際に受け取る(振り込まれる)前であっても、収入として確定していれば、その時点で費用計上することになります。

たとえば、年末の場合を考えてみましょう。

12月末に収入が確定し、実際にその収入が振り込まれるのが翌年の1月だったとしても、費用としては12月に計上することになります。

つまり、実際にその金額を受け取ったタイミングで計上するのではなく、その金額が確定した時点で計上するという考え方です。これが発生主義です。

反対に、12月の収入でも、キャンセル等の関係で12月中に収入が確定していない場合は、12月の収入として計上することはできません。

その場合は、収入(売上)が確定する翌年1月分の収入として計上することになります。

おわりに

発生主義という考え方。

はじめて確定申告の準備をする人にとっては、少し複雑な考え方になっていたかと思います。

本当であれば、経費なら「出費した日」、収入なら「受け取った日」に計上するのが最もわかりやすいと思います。

しかし実際は、発生主義という考え方が採用されているため、一般的な認識どおりには記帳できません。

発生主義とは、あくまでも「債務が確定した日(タイミング)」でベースになります。

たとえば、経費の場合は、実際に支払った日ではなく、債務が確定した日付で経費計上します。ですから、支払いが翌月でも、債務が今月中に確定しいるようなら、今月の経費となるわけです。

これは収入においても同じです。

たとえば12月31日に収入(売上)が確定し、それが翌年1月に振り込まれる場合は、12月の売上として計上します。

しかし、たとえ12月の売上でも12月中に確定していなければ、12月に計上することはできません。その場合は、翌年の1月に計上することになります。

このように、費用を実際に支払った、あるいは受け取った日付とは関係なく、「その金額が確定した日」があくまでも基準になり、記帳するタイミングとなります。

これを発生主義といいますので、ぜひ覚えておきましょう。

アフィリエイト報酬を帳簿付けで売上計上する日付とタイミングについての解説

帳簿付けする際、経費はお金を使った日付で計上すれば問題ありません。

しかし、売上の場合は、発生日なのか振込日なのか、費用計上のタイミングに疑問を感じる人もいるはず。

今回は、フリーランスのアフィエイト報酬を費用計上するタイミングについての解説です。

アフィエイト報酬は基本的に発生した月に記帳する

よく勘違いしてしまうのですが、アフィリエイト報酬は振り込まれた日付で費用計上するのではなく、その月に発生した売上は、その月に計上することになります。

たとえば、3月に発生したアフィリエイト報酬は、4~5月ごとにASPから振り込まれると思います。ですが、あくまでも発生したのは3月ですから、3月に費用計上する必要があります。

さらに、報酬が実際に指定口座に振り込まれた日付で、もう1件の帳簿付けが必要になります。

これは、いわゆる「発生主義の複式簿記」の基本的な考え方になります。

具体的には、次のように記帳することになります。

 

3月末日に報酬が確定

3月31日 売掛金5万円 売上5万円

5月末日に報酬の振込

5月31日 預金5万円 売掛金5万円

 

このように、アフィリエイト報酬は2回に分けて記帳することになります。

少し難しい考え方になりますが、1年間の売上にズレが生じないよう、きちんと記帳しましょう。

アフィリエイト報酬にキャンセルが発生した場合

アフィリエイト報酬が発生しても、その報酬が確定される確率は案件によって異なります。ほとんどの場合、発生した報酬がそのまま全額振り込まれるケースはありません。

発生した件数のうち何件かは、「却下」の扱いになり、実際の報酬にはありません。

しあがって、売上を計上するときは、その「キャンセル分」が確定してから計上しましょう。あとからキャンセル分を調整することも可能ですが、手間がかかります。

ですから、アフィエイト報酬はキャンセル分も踏まえ、すべて確定してから売上計上するのがポイントになります。

たとえば、5万円の売上発生のうち、1万円分のキャンセルは発生した場合を考えてみます。

 

3月末日に報酬が確定

3月31日 売掛金5万円/売上5万円

5月末日に報酬の振込

5月31日 預金4万円/売掛金4万円

キャンセル分の処理の仕方

5月31日 売上1万円/ー

 

このように記帳すれば、発生した売上とキャンセル分を含めて、きちんと正確な内容を計上できます。

振込手数料の計上方法

また、ASPによっては、報酬を振り込む際、手数料を負担してくれるところもあれば、こちらの負担になり、報酬から差し引かれて振り込まれるところもあります。

振込手数料はこちら負担になる場合は、実際に手にする現金がその分減るわけですから、それを反映させた費用計上にしなければいけません。

たとえば、振込手数料として300円を差し引かれて振り込まれたとします。

 

3月末日に報酬が確定

3月31日 売掛金5万円/売上5万円

5月末日に報酬の振込

5月31日 預金49,700円/売掛金49,700円

振込手数料

5月31日 支払手数料300円/売掛金300円

 

このように、実際の売上は5万円でしたが、そのうち300円を振込手数料をして指し引かれ、残りが実際に振り込まれたことの詳細がわかるようになります。

注意点として、最初から振込手数料を差し引いた金額だけを計上してしまうと、実際の売上と誤差が生じていしまいます。

最初から49,700円で計上すれば、わざわざ手数料分の記帳をせずに済むように思えますが、実際は5万円の売上が発生しています。

したがって、「売上は5万円発生したが、そのうち300円を振込手数料として負担している」といった正確な内容で記録することが重要です。

はじめから手数料を差し引いた金額で売上を計上してしまうと、売上を偽って申告することになるので注意してください。

アフィリエイト報酬にキャンセルが発生し、さらに振込手数料もこちら負担の場合

では、ここまでの内容を総合的にカバーした記帳方法をおさらいします。

アフィリエイト報酬において、キャンセルが発生するのは良くあることです。さらに、ASPによっては振込手数料もこちら負担になる場合もあります。

したがって、その2点を反映させた記帳方法が必要になります。

たとえば、5万円売り上げたうち、1万円がキャンセルになり、300円の振込手数料を負担したとします。

 

3月末日に報酬が確定

3月31日 売掛金5万円/売上5万円

5月末日に報酬の振込

5月31日 預金39,700円/売掛金39,700円

キャンセル分の処理の仕方

5月31日 売上1万円/ー

振込手数料

5月31日 支払手数料300円/売掛金300円

 

このように記帳することで、以下の内容を反映させていることになります。

  • 売上は5万円発生した
  • 1万円のキャンセルが発生した
  • 300円の振込手数料を負担した
  • 結果的に受け取ったのは39,700円である

という具合に、売上はマイナスされた金額について細かい情報も記帳できます。

少し複雑な作業になりますが、偽った売上計上をしないためにも、しっかり対応していきましょう。

おわりに

今回は、アフィリエイト報酬を例に、売上計上の仕方について解説しました。

本当であれば、報酬が振り込まれた日付に、振り込まれた金額だけを記帳すれば一番簡単ではあります。

しかし実際は、売上に対してキャンセルが発生したり、手数料を引かれたり、さらに、発生した時期と振り込まれる時期が異なります。

売上を記帳するときは、それらの詳細をきちんと反映させたものにする必要があります。これが帳簿付けの面倒で複雑なところです。

しかし、ここをしっかりやらないと、「売上の偽り」と見なされてしまう可能性もあるので、十分に注意してほしいと思います。