個人事業主が知っておきたい確定申告での節税方法

個人事業主にとって、確定申告とは1つの大きなイベントのようなものです。それによって年間の税金が決定するわけですから、嫌でも無視はできません。

その確定申告において、最も気がかりなのが「節税」です。いかに節税できるかで、納める税額は大きく異なります。

誰しもが「少しでも節税したい」と考えるのは当然のこと。

ですから、税制上のルールを踏まえつつ、可能なかぎり節税はしたいところではあります。

しかし正直、どうやって節税すればいいのか分からない人も多いはずです。

今回は、個人事業主(自営業やフリーランスなど)の方向けに、節税につながる具体的な方法を紹介したいと思います。

大前提として青色申告する

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告は比較的手間がかかりませんが、節税するのであれば青色申告がおすすめです。

青色申告の場合、「青色申告特別控除」というのが適用され、65万円の控除が受けられます。つまり、青色申告にするだけで、所得から65万円が控除されるのです。

これによる節税効果は非常に大きいです。

ただし、会計をする年の3月15日までに青色申告申請をしなければいけません。また、年の途中で事業を始めた場合は、事業開始日から2ヶ月以内に青色申告申請を行う必要があります。

申請をしないと青色申告はできないので、その場合は白色申告し、次の年から青色申告に切り替えることをおすすめします。

小規模企業共済に加入する

個人事業主が行う節税方法として、「小規模企業共済」に加入するのも一つの手段になります。

小規模企業共済とは、将来のための積み立てのようなもので、毎月自分で決めた金額を貯金代わりに積み立てていくことができます。

この小規模企業共済のメリットは、毎月積み立てた金額が控除の対象になるという点です。

たとえば、毎月5万円を小規模企業共済に払うとすると、年間で60万円になります。この金額が所得から控除されるので、その分、当然税金も安くなります。

さらに、将来積み立てたお金を受けることができるので、手元に残して課税対象になるよりは、小規模企業共済に払い、積み立てしつつ、節税対策を講じるのは非常に賢い方法です。

個人型定拠出年金を支払う

個人型定拠出年金とはその文字どおり、個人で加入できる年金制度のようなものです。

個人事業主の場合、国民年金に加入しますが、正直、それだけの積み立てでは老後の生活は成り立ちません。

そのような場合に備え、保険的な役割を果たすのが「個人型定拠出年金」です。

これも積み立てのようなもので、支払った分は所得から差し引かれるため、節税効果があります。

ただ、個人型定拠出年金は株式投資という側面もあるので、「損失が出る可能性がある」と心配する人もいるのは確かです。

しかし、定額預金への振り分けができたり、国債への振り分けもできたりすることができます。そのため、運用の仕方によっては元本保証に近いイメージで資金を積み立てていくことが可能です。

ふるさと納税を利用して住民税を支払う

一時、世間を賑わせた「ふるさと納税」。実はこれも節税対策として有効です。

ふるさと納税とは、住民税を納める地域を全国から選ぶことができます。さらに、住民税を納めた地域から、返礼品というかたちで何割かが還付されます。

通常の場合、住んでいる地域に住民税を納めても、何のバックもありません。

しかし、ふるさと納税を利用することで、納税額の何割かにあたる「商品」が送られてきます。つまり、商品分の金額が還付されているのと同じことになります。

返礼品はたくさんあるなかから選べます。日用品などを選べば、普段の出費を抑えることができます。また、特産品などを選べば、還付される税金でちょっと贅沢するようなものです。

課税額が直接的に減るわけではありませんが、間接的な節税効果は高いです。

レシートがないものでも経費にできる

経費計上するには「領収書」がつきものです。そのため、「領収書がなければ経費計上できない」と考えてしまいがちです。

しかし、なかにはレシートが手に入らない支出もあります。たとえば、自販機でジュースを買った場合、また電車の切符代などです。あるいは、会食や飲みの場で割り勘上した場合、領収書が手に入らないケースも考えられます。

そのような場合、「領収書がないから経費にできない」とあきらめてしまうのはもったいないです。

そういうときは、レシートを自分で発行してしまえば良いのです。

それが、いわゆる「出金伝票」です。

この出金伝票に、いつどこで何にお金を使ったか、その内容を詳しく記入できる書式になっています。レシートがない場合は、自分で出金伝票にその内容を記載し、レシートとして扱うことができるのです。

この方法さえ知っておけば、今まで経費計上するのを諦めていたものでも、すべて必要経費として算入することができます。

ちなみに、出金伝票は100均でも売っています。すぐに手に入れ、少額でもその都度経費計上していきましょう。

補足ですが、取引先などと関連した冠婚葬祭にかかった祝儀や香典費用なども、この出金伝票を使って経費計上できます。

できるだけクレジットカード払いにする

クレジットカードも間接的な節税対策になります。

普段、さまざまな出費をします。事業関連から普段の買い物まで、それらをすべて現金で払うのはもったいないです。

なぜなら、クレジットカード払いにすることで、ポイントが貯まるからです。

ですから、経費などの支払いも、できる限りクレジットカード払いにすることで、税金が直接返ってくるわけではありませんが、「ポイントが貯まる」という形が還元されることになります。

これも一種の節税だと思います。

おわりに

個人事業主にとって節税対策は命綱といっても過言ではありません。

ただ、経費として使った領収書をせかせか集めるだけが節税ではありません。

ここでの内容を参考に、間接的な節税対策は意外とたくさんあります。ある程度経験をして知恵が必要になる部分もありますが、取り入れれることは積極的に採用してもらいたいと思います。

青色申告のメリット!赤字を繰り越せる純損失の繰越控除を解説

青色申告と白色申告というように、確定申告にはこの2種類があります。

青色申告の場合は事前に申請が必要になりますが、税制上いろいろメリットは多いです。帳簿付けなどの作業量は多くなりますが、節税するなら青色申告がおすすめです。

青色申告のメリットのなかに「純損失の繰越控除」というのがあります。簡単に説明すると、「赤字を3年間くりこせますよ~」といった内容の特典です。

今回は、この制度について紹介したいと思います。

青色申告が大前提

まず、純損失の繰越控除の説明に入る前に、この特典を使うには青色申告することが前提になります。そして、青色申告するには、実は事前の申請が必要で、その年の3月15日までに「青色申告しますよ~」ということを申請する必要があるのです。

まずはこのことを前提に考えてください。

もし「あ、青色申告の申請忘れてた」という場合は、今年分は白色申告し、次の年から青色申告に切り替えましょう。

青色申告の3つの特典

冒頭でも説明しましたが、青色申告は節税上、有利な特典がいくつかあります。そのなかで代表的なものを紹介します。

青色申告特別控除

最高65万円までの所得控除が受けられる制度

青色事業専従者給与

生計を1つにする配偶者もしくは親族に支払った給与を必要経費として考えることができる制度

貸倒引当金

年末までの売掛金や貸付金の合計金額の5.5%までを経費として勘定できる制度

青色申告の特典は主にこの3種類がありますが、ほかにも「純損失の繰越控除」という制度があります。

今回は、この制度について詳しく説明しますね。

純損失の繰越控除とはどのような制度なのか

純損失とは、わかりやすくいうと「赤字」のことです。つまり、「赤字が出た場合は繰り越せますよ~」といった制度になります。

この制度を使うと、赤字が発生した次の年から3年間繰り越すことができます。つまり、その年に赤字が出た分は、次の3年間のうちに所得から差し引くことができるのです。

たとえば、150万円の赤字を出した場合、翌年の所得から「純損失」として150万円を計上できます。それだけ翌年の所得を縮小できるので、「赤字になって終わり」ではなく、きちんと翌年以降の節税に役立てることができるのです。

これが「純損失の繰越控除」という制度です。

純損失額は異なる事業区分でも合算できる

この制度の特徴を1つずつ説明します。

事業を行うにしても、たとえば不動産や一般事業など、異なる所得区分で収入がある人もいるはずです。

純損失の繰越控除という制度は、異なる所得区分でも、それぞれの損失を合算することができます。つまり、赤字は赤字といった具合に、面倒なことは考えずに、損失として繰り越すことができるのです。

古い年に生じた赤字(損失)から控除される

この制度を使うと、今年損失が発生し、また翌年も損失が発生することも十分に考えられます。

もちろん、その赤字は繰り越して控除されるわけですが、控除される際、古い年に発生した損失から控除されるため、損失が3年を超えて控除しきれなかったということが起こりにくいのです。

たとえば、平成29年に損失が発生し、翌年の平成30年も損失が発生した場合、次の年は平成29年分の損失から控除されることになります。

そこでまだ所得が上回っていれば、次に平成30年分の損失が控除され、残りはさらに翌年に繰り越せるという制度です。

つまり、赤字が賞味期限切れの状態になるのを防ぐことが可能なのです。

純損失の繰越控除の制度を受けるための手続き方法

このように、純損失の繰越控除という制度は、簡単にいうと「赤字が出たのであれば、繰り越してでもいいので、きちんと所得と相殺しますよ~」という親切な制度というわけです。

では、その制度を利用するには、どういった手続きが必要になるのでしょうか。

この制度を受けるには、次の2点の要件を満たしている必要があります。

 

  1. 確定申告書を提出期限までに提出すること
  2. 純損失が発生した翌年以降も、きちんと連続して確定申告を行うこと

 

まぁ、期限を守るのは、この制度を利用するためだけでなく、余計な課税を受けないためにも必要なことです。

ポイントは、確定申告を連続して提出するという点です。

たとえば、赤字をだしてしまい、翌年以降に廃業したとします。しかし、その赤字を控除してもらうには、たとえ廃業しても確定申告を行う必要があるのです。

ですから簡単にいうと、「純損失の控除を受けたかったら、毎年確定申告してくださいね~」ということです。

この2つの要件さえクリアしていれば、この制度が提供されます。

次に必要書類についてです。

この制度を受けるには、確定申告の際に「申告書第四表(損失申告用)」を提出する必要があります。

申告書Bの第一表と第二表は、青色申告をすれば提出したことになります。それと一緒に、第四表も提出することになります。

その書類の内容は、主に次のような事項になります。

 

損失額または所得額

それぞれの所得区分における損失額を計算し、記入します。

損益の通算

それぞれ所得区分ごとに損益を計算し、純損失の合計額を記入します。

翌年以降に繰り越す損失額

翌年以降に繰り越す損失額を記入します。

繰越損失を差し引く計算

過去3年分の損失額を記入します。

 

これらの内容を申告書第四表に記入し、青色申告の際に提出しましょう。そうすれば、赤字が繰り越され、翌年の所得と相殺することができます。つまり、純損失の繰越控除を受けられるということです。

おわりに

青色申告の特典でもある「純損失の繰越控除」という制度。とても難しそうに聞こえる制度ですが、節税上は非常に有効な制度になります。

本来であれば、事業で赤字が出るのは好ましいことではないかもしれません。しかし、個人事業主たるもの、いつどのように流れになるかはわかりません。

もし赤字が出た場合は、それをきちんと控除の対象として、所得から差し引いてもらいましょう。そうすれば、必然的に課税額は低くなります。

あるいは、積極的な投資を行い、あえて赤字申告するケースもあります。そうすれば見た目上は赤字ですが、課税もされませんし、次への投資ができるので、とても賢い資金ぶりと言えるかもしれません。

そのあたりの高度な節税対策はさておき、純損失の繰越控除という制度は、個人事業主にとっても非常に有効なものです。

この際に、ぜひ覚えておいてください。

確定申告の必要書類は5つ!あなたが用意すべきものを要チェック

確定申告の時期が来るまえに、ある程度どのような書類が必要になるのか把握しておくことは重要です。そのほうが安心して準備ができますし、書類の不備なども防げるからです。

今回は、確定申告の際に必要となる基本的な5つの書類についての解説です。

1.確定申告書Aもしくは確定申告書B

申告書には2種類ありますが、個人事業主の用意するのは「確定申告書B」のほうです。Aのほうはサラリーマンや年金所得者が対象になります。

2.青色申告決算書

これは青色申告に必要な書類になります。

主に売上や勘定科目ごとの経費合計などを記入することになります。

なお、会計ソフトなどで日々打ち込んでいる場合は、最終的な集計はソフトが行ってくれます。ですから、その内容を最後に決算書へ移すだけで大丈夫です。

ちなみに、青色申告は帳簿付けや申告内容は細かく、白色申告に比べ、作業量は多くなります。しかし、特別控除が提供されたり、赤字を翌年3年間持ち越せたりするなど、節税における効果は非常に高いです。ですから、申告方法は「青色」が断然おすすめです。

ただし、青色申告するには、その年の3月15日までに申請する必要があります。その期限を過ぎると青色申告できなくなるので注意しましょう。

3.控除証明書

確定申告の際、さまざまな費用が控除の対象になります。しかし、それを証明する「控除証明書」がないと、確定申告の際にその内容を反映させることができません。

たとえば、以下のようなものがその証明書に当たります。

  • 医療費証明書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 生命保険控除証明書
  • 寄付金の受領証

これらは一部ですが、控除証明書があれば所得からその金額が差し引かれ、その分の節税効果が見込めます。

その年の10月末から12月くらいの間に、各機関から控除証明書のハガキが届くはずです。確定申告の時期までなくさないように保管しておきましょう。

4.経費の領収書、納品書、銀行振込の控え

確定申告の際に経費計上するには、大前提として領収書が必要になります。なぜなら、領収書がないと、本当に費用を使ったのか証明できないからです。

ですから、必要経費として計上するものは、必ず領収書を取っておく必要があります。

なお、これらの領収書を税務署に直接提出することはありません。

しかし、領収書などの書類は、その後数年間は保険しておく義務があります。また、税務調査が行われた場合、領収書の提示を求められることもあります。

ですから、確定申告が終わっても、捨てずに必ず保管しておきましょう。

5.源泉徴収票

個人事業主の方でも、メインの事業とは別にアルバイトなどで収入がある場合、その勤務先の会社から源泉徴収票がもらえます。

源泉徴収票には、その会社から支払われた年収と納付した税金が書かれています。

個人事業主でもほかから収入が発生していれば、それを証明する源泉徴収票が確定申告の際に必要です。

また、会社勤めしている方でも、副業での稼ぎがあり、年末調整とは別に個人で確定申告を行う場合は、会社から発行される源泉徴収票が必要になります。

いずれにしても、源泉徴収票が必要な環境であれば、必ず発行されるはずです。それを大切に保管し、確定申告のときに使いましょう。

おわりに

今回説明した確定申告の際に必要な書類についてまとめたいと思います。

まず、必要書類は次の5つです。

  1. 確定申告書Aもしくは確定申告書B
  2. 青色申告決算書
  3. 控除証明書
  4. 経費の領収書、納品書、銀行振込の控え
  5. 源泉徴収票

これら5種類の書類が必要になるので、なくさずに保管しておきましょう。

とくに領収書は枚数も多くなりますし、1年間に渡って保管することになります。確定申告前になって慌てて伝票整理すると不備が出たり、作業量も膨大になるので、その都度、領収書を処理することをおすすめします。

なお、事業内容にもよりますが、1年間の領収書の枚数が膨大になることも考えられます。その場合は、月単位または勘定科目ごとに領収書をまとめておくのがコツです。

そうすうればある程度整理できるので、たとえ後から領収書を見直すことがあったときでも探しやすいと思います。

領収書の管理は、確定申告のかなめです。それによって経費を計上し、所得を縮小を図ります。その結果、節税効果が生じるので、領収書の保管と計上は丁寧に行うことが大切です。

確定申告初心者でもわかる減価償却の基礎知識

個人事業主であれば、一度くらいは「減価償却」という言葉を聞いたことがあるはずです。

しかし、正直難しいイメージが強く、自分には関係のない話のように捉えてしまう人も少なくありません。

私も個人事業主になってはじめのころは、減価償却について厄介なイメージしかなかったので、見て見ぬふりをしていました。しかし、パソコンを購入した機会に、減価償却について理解せざるを得なくなりました。

個人事業主にとって、減価償却は避けては通れぬ道です。いずれこの知識を覚える必要が出てくるので、早めに理解しておくことをオススメします。

今回は、減価償却の基礎をできるだけわかりやすく解説したいと思います。

減価償却とは?

確定申告に備え、経費をその都度計上しているかと思います。一般的な少額の経費であれば、領収書の金額をそのまま経費に計上できます。

しかし、高額のものになると、一括で経費として計上できなくなります。なぜなら、そのものの価値が1年でなくなってしまうことはないからです。

車を買ったときを考えるとわかりやすいです。

たとえば、300万円の新車を買ったとします。非常に高額なものになるので、300万円をその年に一括で経費計上することはできません。

新車の場合、耐用年数は6年になるため、300間年を6で割り、1年ずつ計上していくことになります。

これが減価償却の基本的な考え方です。

なお、耐用年数は経費として計上する年数のことで、ものによって異なります。自動車の場合は6年に渡って計上したり、パソコンは4年で計上していくことになります。

このように、自動車やパソコンなど、何年もしようできるものを買い、その全額を一括で経費計上するのは問題とされています。

そのため、減価償却という方法で、何年かに分けて経費計上することになるのです。

なお、経費計上する際は、勘定科目に「減価償却費」というのがあるので、その項目に記録します。

減価償却資産には2種類がある

前項では、減価償却の基本的な考え方について説明しました。

それでは、減価償却の対象となるは、どういったものがあるのでしょうか。

減価償却資産(減価償却の対象となるもの)には、大きく分けて「有形減価償却資産」と「無形減価償却資産」の2つがあります。

有形減価償却資産とは?

文字どおり、有形ですから、「形があるもの」で、数年にわたって使用するものが、これに当たります。

代表的なものですと、自動車などがあります。ほかにも、パソコンや周辺機器、スマートフォン、プリンターなども有形減価償却資産に含まれます。

無形減価償却資産とは?

一方、無形なので、「形のないもの」となりますが、パッとイメージしにくいと思います。

主に代表的なものですと、パソコンのソフトウェアなどが無形減価償却資産に当たります。ソフトウェアはインストール後、何年にも渡って使用すると思います。しかし、ソフトウェアは現物ではないので、「無形」ということになります。

ほかにも、実用新案権や営業権、商標権、特許権なども無形減価償却資産に当たります。

減価償却の計算方法と耐用年数について

それでは、減価償却資産の経費計上のやり方について、具体的に見てみましょう。

ポイントになるのは「耐用年数」です。耐用年数とは、「減価償却費として経費にあげられる年数のこと」で、使用できる期間とは異なります。

たとえば、100万円の軽自動車を購入したとします。軽自動車の耐用年数は4年になります。ですから、100万円を4年で割ると、1年間は25万円。つまり、1年で25万円ずつ経費として計上することになります。

前項のように、普通車(新車)は耐用年数が6年で、軽自動車(新車)は耐用年数が4年です。このように、資産によって耐用年数は異なります。

資産ごとの耐用年数は国税庁のホームページで確認できます。

減価償却費を按分して経費計上するケース

ここまで、減価償却の基本的な考え方について説明してきました。

前項では、たとえば300万円の自動車を6年に分けて経費計上する、これを減価償却と説明しました。

ただ、そのときに注意しておきたいことは、「その車は完全に事業用だけに使うのか」というポイントです。

もちろん、事業用以外には使わないのであれば、購入費の300万円はすべて経費計上することができます。

しかし、プライベートでもその車を使う場合は、その使用割合を考えて経費計上する必要があります。

たとえば、車を仕事とプライベートの半々くらいで使用する場合は、300万円の新車を買っても、その半分の150万円しか経費としては認められません。

その使用割合に応じて経費計上することを「按分する」といいます。

たとえば、100万円の軽自動車を新車で購入しました。仕事でも使用割合は80%だったとします。

この場合、1年間でいくら経費として計上できるのでしょうか。

まず、軽自動車(新車)の耐用年数は4年になります。ですから、100万円を4年で割ると、1年で25万円ずつ経費計上できます。

しかし、按分すると、80%を事業用として使うので、経費計上できるのも80%となります。

つまり、25万円の80%ですから、1年間で20万円ずつ経費計上できます。それを4年間継続するので、合計で80万円を経費計上できることになります。

残りの20万円分はプライベートで使用したと見なされるため、経費として計上することはできません。

これが原価償却費における按分の考え方です。

少し難しい考え方になりますが、使ったお金は何でもかんでも経費になるわけではないので、しっかり理解しておきましょう。

おわりに

減価償却費は確定申告する上で欠かせない考え方です。とくに自動車やパソコンなど、事業で使用する高額なものを買った場合は必ず適用することになるので、早めに理解を深めておくことは重要です。

【個人事業主】白色申告(確定申告)の帳簿の付け方

白色申告する際、売上や経費を用紙に記入し、所得を申告します。ですから、売上の管理はもちろんのこと、経費の管理も事前にしっかり行う必要があります。

そこで、事前にやるべきことは「帳簿付け」です。つまり、事業における支出を記録しておくのです。これを事前にやっておくことで、確定申告の際、スムーズに手続きを行うことができます。

では具体的に、どういった内容をどのような方法で帳簿付けすればいいのでしょうか。

今回は、そのあたりの解説をしたいと思います。

白色申告でも帳簿付けは義務

確定申告で、白色は簡単で、青色は難しい、というイメージがあるかもしれません。

確かに以前は、所得300万円以下であれば、白色申告の場合は帳簿付けの義務はありませんでした。

しかし現在は、たとえ白色申告の場合でも、次のことが義務化されています。

  • 簡単な帳簿付け(単式簿記)
  • 領収書、請求書、銀行振込の控えなどを保管しておく

基本的なことですが、経費として計上するためには、その費用を使ったという証明、つまり領収書や請求書、控えなどが必要になります。

さらに、入金や出金などを記録しておくことも必要です。

簡単な帳簿付けとは?

白色申告の場合は、単式簿記で帳簿付けすることになります。分かりやすく言うと、家計簿やお小遣い帳程度の簡単な記録のようなものです。

領収書、請求書、銀行振込の控えを保管する

前述のように、事業上で使ったお金を経費として計上するには、その証拠が必要です。それが、いわゆる領収書(もしくは請求書、振込の控えでも可)になります。

これらの書類をもとに記帳を行い、さらに証拠として保管することが義務づけられています。

領収書などの書類は確定申告が終わっても捨ててはいけません。一定期間は保管しておくことになっているため、その間は捨てずに取っておきましょう。

白色申告の帳簿付けの書き方

帳簿付けとは、簡単にいうと、売上や経費の記録のようなものです。いくら売り上げて、いくら経費として使ったのか、それを記録するのが帳簿です。

白色申告の帳簿付けは、次のような特徴があります。

  • 小売業などの現金売上においては、1日の合計額で記帳することができる
  • 納品書や請求書などの控えがあれば、1日の合計額で記帳してOK
  • 高額の現金仕入れの場合は、1日の合計額を記帳すれば問題ない
  • 金額の少ない経費は、1日の合計額を項目ごとにまとめて記帳することができる

このように、白色申告の場合は、少額の売上や経費については、1日分をまとめて記帳することが許されています。このあたりのことが、「白色申告のほうが簡単」と言われている理由です。

白色申告の帳簿付けにおける書式は自由

白色申告の場合は法定帳簿といわれ、収入と経費の金額がしっかり記録されていれば、その書式は自由に決められます。オススメはしまんが、ノートに手書きしたものでも問題はありません。

記帳する主な内容は、次の事項です。

■日付

取引があった日付を記録します。

■金額

収入あるいは支出金額を記録します。

■摘要

取引先や取引手段、その他の内容を簡潔に記録します。

 

なお、記録する金額は「勘定科目」ごとにまとめるのがポイントです。簡単に言うと、どのような種類の収入あるいは支出なのかをタイプごとに仕分けしておきます。

そうすることで、記録を確定申告書類に反映させるのが楽になります。

なお、勘定科目は項目が多く、少し複雑になります。はじめての確定申告で勘定科目についてよく分からない場合は、次のコンテンツで確認しておきましょう。

勘定科目一覧

白色申告のメリットとデメリットとは?

今回は、白色申告を行う前に準備しておきたい帳簿付けの方法についての解説でした。

実は以前(2,013年まで)は、白色申告にかぎり、帳簿付けや保存は義務づけれていませんでした。そのため、白色申告であれば帳簿をつくらなくても確定申告することができたのです。

なので、2013年までは、白色申告は手間がかからないというのが最大のメリットだったのです。

しかし、2014年からは帳簿の作成と書類の保管が義務づけられたことにより、白色申告も青色申告と同じくらいの手間がかかるようになりました。そのため、白色申告のメリットはほとんどなくなったと言って良いでしょう。

ただ、帳簿付けは簡易なものでも認められるため、その点においては白色申告のほうに若干メリットがあります。

白色申告の最大のデメリットは、青色申告のように節税につながる特典が少ないという点です。

青色申告の場合、最大65万円の特別控除があり、また、事業の赤字を3年間繰り越すこともできます。

さらに、その特典は住民税や国民健康保険料にも影響します。ですから、節税をするには、青色申告のほうが断然有利なのです。

一方、白色申告はそういった特典がないので、青色申告に比べてほとんどメリットがないと言っても良いでしょう。

白色申告の唯一のメリットは、帳簿付けが少し簡単に済ませることができる、といったくらいです。

したがって、個人事業主は青色申告が断然オススメです。

ただ、私も経験があるのですが、個人事業主になって初年は、そういった知識がまったくありません。青色申告をするには事前申請が必要で、さらに申請するには期限がある、といったことも知りません。

そのため、初年分は青色申告ができずに、仕方なく白色申告するといった失敗がありました。

ですから、間に合うのであれば、青色申告できるように申請しておくのがオススメです。しかし、期限が過ぎて間に合わない場合は、仕方ないので今年分は白色申告を行い、次から青色申告に切り替えましょう。

そういったちょっとした失敗を繰り返しながら、確定申告や経費における知識が深まるものです。

とにかく、確定申告は事前準備が大切です。あとから「しまった!」と後悔しないよう、ある程度知識を深めつつ、年度末の確定申告に備えましょう。

中古車を購入すると個人事業主にとっての節税対策になるのか

個人事業主として確定申告する以上、いかに節税対策を講じるかが1つのポイントになります。

人から「車を買えば節税できるよ」と聞いたことはあっても、あまり確信を持てていない人もいるはず。

業務上の必要経費であれば、積極的に計上することで節税につながります。しかし、車ともなるとその費用も高額になるので、一般的な経費と同じ扱いをすることはできません。

では、車を買ったときの費用は、果たして経費として計上できるのでしょうか。

今回は、個人事業主が中古車を購入した際の節税対策について紹介したいと思います。

新車を購入した場合は、経費計上するまでに数年かかる

節税効果を期待しつつ車を購入する場合は、「新車で」という選択肢も考えられます。

ただ、新車の場合、その車の価値は1年でゼロになることはありません。ですから、新車の価値がゼロになる数年に分けて購入費用を経費として計上していくことになります。

これを減価償却といいます。そして、経費を分けて計上する年数を耐用年数といいます。新車の場合、耐用年数は6年になります。

したがって、300万円の新車を購入した場合は、その金額を6年間で分けて、そのうえで経費として計上することができます。

一般的な事務用品などとは違い、車は非常に高価なものなので、「資産」として見なされるからです。

ちなみに、軽自動車の場合は、耐用年数は4年になるので、4年間で経費計上することになります。

ただ、よく勘違いしてしまいがちですが、耐用年数4~6年で減価償却、つまり、経費計上するのは、あくまでも会計上の話です。実際は、この年数が経っても車には価値がありますし、その後も乗り続けることができます。

実は中古車であれば耐用年数が短い

前項では、新車購入の場合で説明しました。

簡単にまとめると、車というのは固定資産にあたるため、購入した場合は1年で全額を経費計上することはできません。

新車には耐用年数というのがあり、新車価格を耐用年数で割った金額を、毎年経費計上することができます。

しかし、中古車の場合は、この耐用年数が短くなります。つまり、新車よりも短い年数で経費計上することができるのです。

たとえば、

  • 3年落ちの中古車の場合は、耐用年数が3年になります。
  • 4年落ちの中古車の場合は、耐用年数が2年になります。

具体例をあげると、

4年落ちの中古車を200万円で購入した場合、耐用年数は2年になるので、1年で100万円ずつを経費として計上することができます。

車の購入費用は月割りで経費計上する

ただ、注意しておきたいポイントは、車の購入費用を1年分まとめて経費計上するのではなく、月割りでしか計上できないという点です。

たとえば、1年で100万円の経費計上ができる場合、100万円を12ヶ月で割った金額ずつしか毎月計上できません。

ですから、たとえば4月に車を購入した場合、その年は8ヶ月分の費用しか計上できないのです。

したがって、年末に慌てて節税を講じ、中古車を買ったとしても、1~2ヶ月分しか経費として計上することはできません。

この点については、注意しておきましょう。

新車も中古車も結局経費計上できる年数が違うだけ

ここまで、新車と中古車を買った場合で、それぞれで経費についての考え方を説明しました。

中古車であれば耐用年数が短くなるので、1年間で経費にできる金額は大きくなります。

たとえば、300万円の車を購入した場合、新車であれば6年間で計上することになります。したがって、1年間に経費として計上できるのは50万円ということになります。

一方で、300万円する4年落ちの中古車を買った場合、耐用年数は2年になります。そのため、1年間で150万円を経費として計上できます。

経費として計上できる金額を1年間で見ると、中古車のほうが節税効果が高いように感じます。

  • しかし、この場合、中古車は2年で経費を計上し終わります。
  • 一方、新車の場合は6年間に渡り、経費として計上できます。

つまり、経費として計上できる年数が違うだけで、結局のところ、車の購入費用は経費計上できるのです。

節税を期待して車を購入するときの注意点

事業で使う車であれば、その購入費用を経費として計上できます。そのため、「節税しよう」という考えて、とりあえず車を買ってしまう人がいます。

しかし、車の購入費用は、あくまでも売上から出資することになります。ですから、車を買ったことにより、事業の運転資金が足りなくなったり、普段の生活にも影響が及んだりするようなら、車の購入は慎重に考えるべきです。

事業用の車であれば、それにともなう保険料や税金、ガソリン代も経費として認められます。しかし、出費には変わりありませんから、売上以上に経費を膨張させるのは危ない考え方です。

あくまでも売上から資金ぶりを考え、そのうえで車を買うのは、そのほかの必要な備品を調達するのか、このあたりは経費に対するバランス感覚が必要になると思います。

おわりに

ただ、あくまでも事業用の車という観点で今回は解説しました。

事業用に使う車なので、経費として計上するのは当たり前の考え方です。

しかし、その車をプライベートでも使うようなら、その按分を考慮しつつ、経費に計上する必要があります。

正直、はじめて確定申告する人にとっては、なかなか難しいことばかりかもしれません。しかし、今後も「経費」という考え方は非常に重要になるのは間違いありません。

ですから、少しずつでもいいので、経費への知識を深めていきましょう。そうしていくうちに、普段の出費も上手に経費計上でき、結果的にうまく節税できるようになると思います。

経費の仕分けするために知っておきたい勘定科目一覧

確定申告の際は、どのような種類の経費がいくらあるのかという内容も申告することになります。

日々集めた領収書、それをどの項目(勘定科目)に仕分ければいいのかよく分からない人もいるはずです。

今回は、勘定科目の種類を紹介したいと思います。

勘定科目って何?

個人事業主が確定申告するために最低限やらなければいけないのは、会計を記帳することです。つまり、どれだけ売上があり、何に経費を使ったのか、それを細かく計算しておく必要があります。

その際、使った経費を一つずつ計上することになりますが、その経費をある程度の種類ごとに仕分けする必要もあります。その経費の種類が「勘定科目」を呼ばれるものです。

しかし、「この経費はどの勘定科目に分類されるのか」と仕分けに迷ってしまうことはよくあります。

ですから、まずはどのような勘定科目があるのかを理解しておく必要があります。

勘定科目の種類

経費の勘定科目には、大きく5つに分けることができます。勘定科目5種類は、次のとおりです。

■資産

現金、預金、売掛金など

■負債

借入金、未払金、預かり金など

■資本

元入金(開業時の出資金)など

■費用

必要経費(通信費、消耗品費、雑費、地代家賃など)

■収益

売上、雑収入など

 

会計処理をするときは、その費用がどの勘定科目に該当するのか判断し、そのうえで記帳していくという作業になります。

それでは、一つずつさらに詳しく見てみましょう。

費用

最もわかりにくいのは、費用です。ここでは、費用の勘定科目にどういったものがあるのか見てみましょう。

  • 仕入:材料や商品の仕入れなど
  • 給与手当:従業員への給与など
  • 福利厚生費:従業員の慰安旅行、健康診断費用など
  • 外注費:本業に関して外部に仕事を発注した経費など
  • 旅費交通費:移動や通勤による交通費や出張費、宿泊代、ガソリン代、高速料金など
  • 荷造運賃:宅配便にかかった運賃など
  • 通信費:電話代やインターネット費用、切手代など
  • 水道光熱費:電気、ガス、水道代
  • 消耗品費:1組10万円未満の備品やパソコン、コピー代、オフィス家具、文具など
  • 会議費:取引先との打ち合わせにかかった飲食代など
  • 交際費:接待などによる交際費、取引先への手土産、お中元、お歳暮代、仕事上の冠婚葬祭へ出席したときの参加費用、祝儀、香典代など
  • 広告宣伝費:ホームページなどのサイトを外注した場合にかかる制作費
  • 減価償却費:1組10万円以上の固定資産について計算した今年分の減価償却費
  • 新聞図書費:仕事で使った新聞、書籍、雑誌、DVDなどの資料代、メルマガの購読料など
  • 支払手数料:銀行振込手数料や銀行時間外手数料、両替手数料など
  • 支払報酬:税理士や弁護士への報酬など
  • リース料:OA機器や自動車のリース代
  • 地代家賃:事務所の家賃や駐車場の賃料など
  • 保険料:事務所の火災保険料など
  • 修繕費:車やパソコン、複合機などの修理にかかった費用
  • 諸会費:業界団体などの年会費など
  • 研修費:仕事上必要なセミナーへの参加費用など
  • 租税公課:印紙代、事業税、自動車税など

このように、費用の勘定科目はかなり細かく設定されています。以外と「こんなものも経費になるんだ」と思えるものもあったはずです。

経費にならないものは仕方ありませんが、認められるものは漏れなく申告するようにしましょう。

収益

収益の勘定科目は非常にシンプルです。

  • 売上:本業による収入。
  • 雑収入:本業以外からの収入。たとえば、副業でFXなどで利益が上がった場合は、雑収入として計上する必要があります。

資産

資産という考え方がいまいち腑に落ちない人もいるかと思いますが、次のような勘定科目があります。

  • 現金:レジや金庫などの手許現金のこと。ズレがないよう正確に。
  • 普通預金:事務用として使用している普通預金のこと
  • 売掛金:未回収になっている売上代金のこと
  • 前払費用:期間に応じて支払う経費のうち、次の年以降に支払う費用のこと
  • 前渡金:商品などを引き渡すまえにはらう代金、前金、手付金のようなもの

負債、資本の勘定科目

  • 買掛金:未払いがある仕入れ代金など
  • 未払金:仕入れ以外で生じた代金の未払い分
  • 預かり金:預かっているお金
  • 元入金:事業のはじめに用意した元手と、そのあとに貯蓄された利益など

おわりに

このように、たとえ個人事業主とはいえ、かなりこまかく勘定科目はわかれています。さらに、事業上の入出金が生じた際は、その費用の金額や取引先、勘定科目、日付などを細かく記録しておく必要があるのです。

記録さえ残しておけば、たとえ手書きでも問題はありません。

しかし、計上してまとめる際、どうしても計算ミスなどが生じる可能性が高くなります。ですから、事前に会計ソフトなどを使って帳簿付けしておくことが非常に大切になります。

あるいは、会計士に費用を支払い、確定申告を丸投げすることも可能です。

いずれにしても、個人事業主になった以上、このあたりの知識は自分で身につけることが肝心です。黙っていても誰も教えてくれないので、一冊、それように本を購入し、基礎的な知識を押さえておくことをおすすめします。

また、売上や経費が発生する都度、疑問が生じると思います。そのあたりの細かなことはインターネット上にもたくさん情報が載っています。

疑問をそのままにしておくと自分の知識も身につきませんし、何より会計上問題が生じる可能性もあります。ですから、わからないことはそのまま放置せずに、自分から調べる癖をつけておくと良いです。

個人事業主の経費として落とせるものと領収書のもらい方

会社員から個人事業主になると、年末調整というのがなくなります。その代わりに、自分自身で確定申告を行い、納税する必要があります。

確定申告とは、1年間の所得がいくらだったのかを税務署に申告するためのものです。

所得とは、売上から経費を差し引いた金額です。ですから、売上を管理するのはもちろんですが、経費についても自分自身でしっかり管理することが重要になります。

ただ、はじめて確定申告する人にとっては、「経費」という概念がいまいち理解できていない人もいるはずです。

今回は、個人事業主の経費として認められる項目と、その際に必要となる領収書のもらい方についての解説になります。

個人事業主の所得は売上と経費から算出する

個人事業主というのは、法人(株式会社など)を立ち上げずに、個人で事業をする人のことです。馴染みのある言葉では、自営業やフリーランスなどとも呼ばれ、これも個人事業主に変わりはありません。

個人事業主の事業年度は、1月1日から12月31日と決められています。ですから、その1年間の売上と経費を集計し、所得を割り出したうえで確定申告書を提出します。

これが、いわゆる確定申告です。つまり、簡単に言うと「去年の所得は○○万円ありましたよ~」と税務署に申告することです。それにより、所得税や住民税、国民健康保険料などの税額が決定します。

節税の基本は経費を増やすこと

当然ながら、所得が増えれば税金も高くなります。したがって、できるだけ納める税金を少なくするには、所得を縮小する必要があります。

売上を下げれば必然的に所得は減らせるため、税金も減ります。

しかし、個人事業主として稼いでいるわけですから、「いかに稼ぎを増やすか」というのは最も重要な課題でもあります。そもそも、税金を少なくするために稼ぎを減らすというのは、個人事業主にとっては本末転倒な考え方です。

したがって、売上は増やすという前提のもと、所得を縮小する考え方が必要です。

そこでポイントになるのが、経費です。

所得とは、「売上から経費を差し引いた金額」です。ですから、経費を増やせば、必然的に所得を縮小することができます。

つまり、個人事業主として節税を考えるときは、いかに経費を計上するかがポイントになるのです。

とても基本的な考え方ですが、はじめて確定申告する人にとっては馴染みのないことなので、しっかり腑に落としておきましょう。

経費とは何か?

それでは、本題に入ります。

経費とは、一体何なのか。どういった費用が経費として認められ、計上できるのか。その点についてしっかり理解しておきましょう。

経費とは、「事業を営むうえで欠かせない費用」のことです。事業に直接関係するもの、あるいは関連するものは経費として考えることができます。

ただし、個人事業主本人が経費として判断しても、客観的に経費として認めれるものでなければいけません。これは事業との関連性だけではなく、経費として計上する金額も妥当もしくは適性を見なされる必要があります。

個人事業主の経費として落とせないもの

したがって、使ったお金のなかには、当然経費として認められないものもあります。

一番わかりやすいのは、個人の生活における出費です。たとえば、普段の食費や雑費などは事業と関わりがないと考えられるため、経費にすることはできません。

つまり、

  • 事業のための支出は経費になり、
  • それ以外の支出は経費にはなりません。

この基本的な考え方を押さえておく必要があります。

家事関連費とは?

しかしながら、経費と個人的な支出のどちらに該当するのか、曖昧な費用もあるかと思います。

たとえば、家賃や携帯電話料金、ネット通信費、水道光熱費など、仕事とプライベードのどちらでも使っている場合、経費として算入できるのかが疑問になります。

これを「家事関連費」といい、どの程度事業に使っているのか、その割合に応じて経費として計上することが可能です。

たとえば、家賃の場合、事務所として自宅面積の何割を使用しているのか。事務所が3分の1程度の広さであれば、家賃の3分の1は経費として考えるのが妥当です。

このように、家事関連費においては、事業使用分と家事使用分の割合を考えつつ、経費計上することが可能です。

自動車の費用は経費として認められるのか

また、家賃などのほかに、自動車における費用も気になるポイントです。

たとえば、300万円の自動車を買ったとします。一般的には、車を買ったらその後数年に渡って乗り続けることになるはずです。つまり、資産としての価値が数年続くという考え方です。

これを減価償却といいます。耐用年数は資産によって異なりますが、自動車の場合は4~6年になります。したがって、4~6年間に分割して自動車の購入費用を計上していく必要があるのです。

ただし、その車を仕事で使うこともあれば、プライベートで使うこともあるはずです。ですから、購入費用が全額経費として認められるのではなく、仕事で使っている割合も考慮して経費計上することになります。

同様に、駐車場代やガソリン代、保険料、自動車税、メンテナンス費用なども、仕事とプライベートの使用割合に応じて按分し、そのうえで経費計上しましょう。

経費計上は領収書をもらうことから始めよう

ここまでは経費の概念について解説しました。

ただ大前提として、経費を使ったことを証明するためのものが必要です。それが「領収書」です。

たとえば、業務用にパソコンを買った場合、会計時に領収書をもらうようにします。そうすることで、購入費用を経費として計上できます。

その際、領収書をもらわないと、本当に購入したのか証明することができません。仮にこれでもオッケーとしてしまうと、実際には使っていない架空経費でも認められることになってしまいます。

ですから、経費計上するための基本は、領収書をもらうことです。

さらに、領収書をもらうときは、次の内容が書かれていることも確認しましょう。

  • 宛名(個人事業主の場合は名字でオッケー)
  • 領収日(発行日)
  • 金額
  • 商品やサービス内容
  • 発行側の名前、住所、電話番号
  • 押印

これらの情報は、「あなたがいつ何にいくら使ったのか」を証明するためのものです。もらった領収書の内容だけでは十分でないと思う場合は、領収書をもらったあとに自分で詳細を手書きしても構いません。

要するに、事業に必要な支出だったということをきちんと証明できれば良いのです。

領収書をもらうことは、経費計上の基本です。これがないと所得を縮小しようがないので、お金を使ったら、その都度領収書をもらう癖をつけておきましょう。

おわりに

今回は、確定申告における経費の考え方について、基本的なことを説明しました。

経費を増やせば、それだけ所得を縮小できるので、結果、税金も減らせます。

ただし、何でもかんでも購入して経費を増やせばいいというものでもありません。経費を増やせば当然手元のお金は減りますから、単純に考えて貯金も確実に減ります。

したがって、どれだけ経費としてお金を使い、どれだけ手元に残しておくのか、そのバランスも非常に重要になります。

とはいえ、はじめて確定申告する人にとって、そのバランス感覚というのはなかなか分かりづらいものがあります。

ですから、初めての年は、取り上げず事業に必要なものはしっかり購入し、経費を計上しましょう。そのうえで、どの程度の税金がかかるのか、身をもって体験してみるべきです。

そうするうちに、「もうちょっと経費を増やしてもいいな」とか、「あまり使いすぎると、手元にお金が残らないな」といった感覚がつかめてくると思います。

いずれにしても、どの程度経費として計上するかは、バランスが重要です。それを踏まえて、どういったことに経費を使うのかを良く考えてみましょう。

確定申告で30万円未満のパソコンを一括経費計上する少額減価償却資産

個人事業主が仕事で使うパソコンを買う場合、同然ながら、その費用は経費として考えることができます。

しかし、パソコンともなるとそれなりに高額になってくるため、一括で経費計上して良いものなのか疑問に思う人もいるはず。

パソコンのように、10万円以上30万円未満のものは「減価償却資産」として、要件を満たしていれば一括で経費にすることが可能です。

今回は、その「少額減価償却資産」という制度について説明したいと思います。

少額減価償却資産って何?基礎知識

減価償却資産というのは、そのものを資産として勘定し、計上したうえで、耐用年数に応じて分割した金額を経費とすることができます。

さらに、その減価償却資産のなかに「少額減価償却資産」というものがあります。

少額減価償却資産とは、「使用期間が1年未満であること」「取得価額が10万円未満であること」この2つの要件を満たしているものに限り、認められる制度です。

個人事業主であれば、確定申告の際(青色、白色申告関係なく)に、その年の必要経費として全額を計上することができます。つまり、即時償却が可能なのです。

この条件に当たるものであれば、通常、分割して経費計上する減価償却方法を採用しなくても、一括で経費計上しても問題ないと考えられているからです。

一括償却資産の基礎知識

減価償却資産には「一括償却資産」というものもあり、「取得価額が10万円以上20万円未満」であれば、その資産を一括で償却できるというものです。

この条件に当たる資産においては、白色申告や青色申告は問わずに、それを買った金額を3年間に均等償却することができます。

たとえば、12万円のパソコンであれば、4万円を3年間、経費として計上できます。

一括償却資産のメリットとは?

この制度のメリットは、通常の減価償却資産のときよりも早く経費として計上できることです。通常、パソコンの耐用年数は4年なので、本来であれば4年かけて経費計上する必要があります。

しかし、一括償却資産を採用することで、4年から3年に短縮できるのです。

つまり、より短い期間に経費とすることで、その分所得を抑えることができるというわけです。

一括償却資産のデメリットとは?

ただし、一括償却資産にはデメリットもあります。

通常の減価償却資産の場合、耐用年数の途中で破棄すると、その時点でまだ償却していない残りの経費をすべてまとめて計上することが可能です。

しかし、一括償却資産の場合は違い、たとえ償却中に破棄をしたとしても、必ず3年をかけて経費として計上しなければいけません。

たとえば、12万円の資産を1年で破棄したとします。その場合、資産自体はもうすでに手元になくても、残り2年をかけて8万円を経費計上していくことになります。

少額減価償却資産の特例が使えるのは青色申告の場合

また、上記の金額より上回った場合、「取得価額が10万円以上30万円未満の資産」においては、少額減価償却資産の特例というのがあり、それを適用することが可能です。

この少額減価償却資産という制度を使うと、なんと30万円未満の減価償却資産であっても、その年に全額を経費計上することができるのです。

しかし、この制度を利用するのにも、やはり要件があり、その基準を満たしている必要があるのです。さらに、その上で手続きも必要になります。

少額減価償却資産の特例が使える要件とは?

この特例が使えるのは、次の要件を満たしている必要があります。

個人事業主の場合

  • 青色申告書を提出していること
  • 中小事業者であること

特例を使うのは、まず大前提として「青色申告」で確定申告をする必要があります。ですから、白色申告をする予定の人は、少額減価償却資産の特例は使えないことになります。

少額減価償却資産の特例における手続きの進め方

では、この特例を使う際の手続きの方法について説明します。

個人事業主の場合は、「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」に記入し、確定申告の際に提出する必要があります。

あるいは、青色申告決算書には「減価償却費の計算」という項目があるので、そこに30万円未満のものを取得した際の金額と、特例を利用する内容を書けば大丈夫です。

おわりに

このように、ある一定額を超えた資産においては、減価償却という考え方が採用されます。

資産には耐用年数(そのものの価値がゼロになるまでにかかる年数のこと)があります。そのため、全額まとめて経費計上するのではなく、耐用年数に応じて経費を分割し、そのうえで計上していくのが基本です。

ただし、上記のように、一定の基準を満たしていれば、30万円未満の資産に限り、一括で経費計上することも可能です。

その際、大前提となるのが青色申告で確定申告を行うことです。したがって、白色申告の場合は、30万円未満の資産を一括経費計上することはできません。

なお、青色申告をするのにも手続きが必要になります。その年の3月15日までに青色申告をすることを申請すると、翌年は青色で確定申告を行うことができます。

この期限を過ぎてしまうと青色申告はできなくなるので注意しましょう。

今回は、30万円未満のパソコンを買った場合の経費計上のやり方について紹介しました。

はじめて確定申告する人にとっては少し難しい考え方だったと思います。ただ、「減価償却」というのは今後も必ず使う知識なので、ここで理解を深めておきましょう。

確定申告の際の医療費控除とは?医療費控除の基礎知識

確定申告の際、さまざまな種類の控除がありますが、それによって課税金額が変わるので気になるポイントではあります。

そのなかに「医療費控除」というものがあります。通院や入院など、思わぬことで医療費が高くなってしまうケースがありますが、一定額を超えた医療費は、確定申告の際に還付される仕組みになっています。

ですから、「今は健康だから関係ない」と思うかもしれませんが、もしものときのために知識として押さえておいたほうが良いです。

今回は、確定申告の際の医療費控除についての解説です。

医療費控除とは何か

1年間の医療費が一定の基準を超えると、所得控除の対象になります。それが「医療費控除」です。

医療費控除を受けるには要件があり、対象となる医療費も決まっています。その条件を満たしていれば、医療費控除が受けられます。

なお、会社員は年末調整が行われます。ただし、医療費の支払いまでは会社に申告することはありません。ですから、医療費控除の対象となる会社員の方は、自分で確定申告を行い、還付を受ける必要があります。

医療費控除の対象要件

前項のように、医療費控除を受けるには、ある要件を満たしている必要があります。その要件を具体的に見てみましょう。

以下引用:出典「国税庁ホームページ

  • 医師または歯科医師による診療または治療の対価
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価
  • 病院、診療所、介護老人保健施設、会議医療型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着介護老人福祉施設または助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
  • 保健師、看護師、准看護師または特に依頼した人による療養上の世話の対価
  • 助産師による分べんの介助の対価
  • 介護福祉士等による一定の喀痰 吸引及び経管栄養の対価
  • 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  • 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの
  • 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補助器、義歯などの購入費用
  • 傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代
  • 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
  • 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
  • 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導

このように、細かな要件がありますが、これらの満たす条件で医療費が発生した場合は、確定申告の際の医療費控除対象となります。

医療費控除を受けられるのは医療費がいくらから?

冒頭で、医療費控除を受けるには、医療費が一定額を超えている必要がある、と説明しました。その金額は、10万円になります。つまり、1年間の医療費が10万円を超えていれば、医療費控除の対象になるということです。

なお、納税者本人以外に、その配偶者や親族で、なおかつ生計を共にする人であれば、その医療費も控除の対象となります。

医療費控除額の計算方法

それでは、支払った医療費に対して、どのくらいの金額が控除されるのか、その計算をしていましょう。

医療費控除の計算方法

「支払った医療費の合計額」-「保険金などで補填される金額」-「10万円(または総所得が200万円未満の場合は、総所得金額の5%)」=医療費控除額

医療費控除におけるポイントまとめ

確定申告の際の医療費控除について、さらに要点をまとめます。

まず、医療費控除を受けたい人は、還付申請を行う必要があります。これをしないと、医療費控除による還付金は受け取れません。

また、前項で「生計を共にしている人」にかかった医療費も対象になると説明しました。つまり、自分以外にも、配偶者や子ども、孫、親、祖父母など、生計を共にしている家族であれば、その人にかかった医療費も控除の対象となります。

ここでのポイントは、「生計を共にする」というところです。つまり、生計を共にしていれば、たとえ別居していても問題はありません。

ただし反対に、同居している親族でも、独立して生計を立てている人の場合は、医療費を合算して考えることはできません。

少しわかりにくい点ですが、間違えないようにしましょう。

治療か予防かによって医療費控除の対象になるかが変わる

医療費控除の対象になるかどうかは、わかりやすくいうと、治療か予防のどちらにかかった費用かというのが分かれ目になります。

人間ドックの費用

たとえば、人間ドックにかかった費用を考えてみましょう。

人間ドックを受けて体に異常が見つかり、治療が必要になるケースがあります。この場合、人間ドックは治療の一環と見なされるため、医療費控除の対象となります。

一方、人間ドックを受けても特に異常が見つからなかった場合、これは予防のための費用と見なされるため、人間ドックにかかった費用は控除対象となります。

出産にかかる費用

また、出産の場合でも考えてみましょう。

前述のように、出産にともなう妊婦健診費用や通院費用であれば、もちろん医療費控除の対象になります。

しかし、出産にともなう里帰りにかかった交通費や、入院する際に自分で買ったものなどは、医療費とは見なされず、控除の対象にはなりません。

まとめ

このように、医療に関わる出費はすべて「医療費控除」の対象になるわけではありません。

ポイントとしては、その費用が「治療費」なのか、あるいは「予防のためにかかった費用」なのかが分かれ目になります。

年間で10万円以上の医療費がかかることは少ないと思いますが、もしもの怪我や病気で医療費が高くなった場合は、忘れずに医療費控除の申請を行い、還付金を受け取るようにしてください。

これは個人事業主にかぎらず、会社員にも言えることなので覚えておきましょう。